シミュレーション活用においては、従来、試験車両を用いた物理的な検証を中心に設計開発を進めてきたが、ダッソー・システムズの空力設計向けCFDソフトウェアソリューション「PowerFLOW」を活用することで、試験車両による風洞実験と同等レベルの高精度な解析が行えるようになったとする。
講演では、PowerFLOWを用いたデジタル風洞の活用事例を紹介。走行時に発生する空気の流れの一部がキャビンに流れ込み、搭乗者の不快感を引き起こしていたが、この事象をPowerFLOWで正確に捉え、サイドガラスとデフレクターによって事象を低減できることを確認したという。「こうした検証を実際の試験車両を用意する前、コンセプト設計の初期段階で確認できる点がシミュレーション活用の最大のメリットだ。早期に確認できることで手戻りを削減し、作業効率化やコスト削減につなげることができる」(カー氏)。
さらに、これからのEV開発においては「完全にバーチャルの世界でプロトタイプが構築されるようになる」とカー氏は説明する。3DEXPERIENCEプラットフォームによる、シングルソースオブトゥルース(情報の一元管理)の実現により、顧客要求を設計に反映したり、シミュレーション結果を設計にフィードバックしたりといったことが、どのユーザーからも迅速に行えるようになるという。
カー氏は「3DEXPERIENCEプラットフォームによって、設計開発プロセスが統合され、製品サービスに関するあらゆる知識やノウハウが共有でき、誰もがそれらを活用できるようになる。サプライチェーン全体、パートナー企業にもそのメリットが享受され、コラボレーティブなイノベーションの実現を支えてくれる。将来の成長において、3DEXPERIENCEプラットフォームの存在は欠かせないものになるだろう」と述べ、「われわれは持続可能な未来のEVを共に開発してくれるビジネスパートナーを日本、そしてアジアで探している」(カー氏)と訴え、講演を締めくくった。
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