3DEXPERIENCEプラットフォームの裾野を広げるダッソー、そして未来の人財育成メカ設計ニュース(1/2 ページ)

ダッソー・システムズは東京都内で事業戦略記者説明会を開催。同社 代表取締役社長の山賀裕二氏が日本法人設立25周年の歩みを振り返るとともに、2018年度のハイライト、そして日本市場での次なる展開について、その考えを示した。

» 2019年06月06日 08時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

 ダッソー・システムズは2019年6月5日、在日フランス商工会議所において事業戦略記者説明会を開催。同社 代表取締役社長の山賀裕二氏が日本法人設立25周年の歩みを振り返るとともに、2018年度のハイライト、そして日本市場での次なる展開について、その考えを示した。

日本法人設立25周年、これまでの歩みとダッソー・システムズの価値提供

ダッソー・システムズ 代表取締役社長の山賀裕二氏 ダッソー・システムズ 代表取締役社長の山賀裕二氏

 まず、山賀氏は1994年の日本法人設立からの従業員数の推移を紹介。2010年、当時グローバルアライアンスを結んでいたIBMからダッソー・システムズ製品の取り扱い事業(PLM事業)を買収したことを契機に、ダッソー・システムズ日本法人としての存在感を強め、右肩上がりで従業員数を伸ばしてきたという。「現在、日本法人の従業員は約700人おり、国籍や世代も多様化している。2019年からはしばらく行っていなかった新卒採用も開始し、若手人材の獲得にも力を入れている」(山賀氏)。

 また、「ダッソー・システムズはモノづくりの進化とともに発展してきた」(山賀氏)とし、過去、現在、そして未来と、その時代に適した形で価値を提供し続けていることを強調。そして、「ここ数年のうちに、モノづくりの在り方はさらに大きく変わる。カスタマーエクスペリエンスの時代の到来だ。今後より一層の柔軟性と俊敏性が求められ、設計や製造だけでなく、マーケティングや営業までを含めたシームレスなモデルベースのコラボレーションを実現しなければならない。デジタルツインを中心とした次世代のモノづくりにおいて『3DEXPERIENCEプラットフォーム』が価値を発揮すると確信している」と山賀氏は述べる。

3DEXPERIENCEプラットフォームがもたらす新たなコラボレーションの形 3DEXPERIENCEプラットフォームがもたらす新たなコラボレーションの形 ※出典:ダッソー・システムズ

戦略的買収でプラットフォームによる価値創出を強化

 ダッソー・システムズのソフトウェア事業は好調で、2018年度の地域別ソフトウェア収入の伸び率は2桁成長。特にアジア地域の成長率が16%と米国、欧州よりも高い伸びを示している。また、日本だけにフォーカスしてみると「16%以上の成長率で、自動車産業はもちろんのこと、ハイテク、造船、産業機械、建設機械といった他の産業分野もバランスよく伸ばしている」(山賀氏)。

2018年度ハイライト(地域別ソフトウェア収支の伸び率) 2018年度ハイライト(地域別ソフトウェア収支の伸び率) ※出典:ダッソー・システムズ

 さらに同社は、プラットフォームによる価値創出を強化する取り組みとして、戦略的買収も進めている。2018年度は、モデルベースによるコラボレーションの実現に欠かせないシステムズエンジニアリング領域の強化を目的にNo Magicおよびargosimを、解析領域においては化学、材料科学の強化を目的にCOSMOlogicを買収。これに加え、中小製造業向けERPのIQMSを買収し、「DELMIAWORKS」としてリブランディングした他、多業種化戦略の一環としてアパレル向けPLMを手掛けるCentric Softwareも傘下に収めている。

プラットフォームによる価値創出を強化する戦略的買収 プラットフォームによる価値創出を強化する戦略的買収 ※出典:ダッソー・システムズ

 このうちIQMSの買収に関しては、2019年2月開催の「SOLIDWORKS World 2019」で発表されたもので、DELMIAWORKSはミッドレンジ3D CADの「SOLIDWORKS」と並び、3DEXPERIENCEプラットフォームの裾野を中堅・中小企業にまで広げる「3DEXPERIENCE.WORKS」ポートフォリオを担う製品の1つとして位置付けられている。山賀氏は「3DEXPERIENCE.WORKSは、これまで中堅・中小企業で広く使われてきたSOLIDWORKSの戦略をさらに発展させるものだ。DELMIAWORKSの提供は2020年を予定。今後、3DEXPERIENCE.WORKSの戦略に基づき、SOLIDWORKS、DELMIAWORKSに続くアプリケーションが登場するだろう」と語る(関連記事:新戦略「3DEXPERIENCE.WORKS」はSOLIDWORKSを次なるステージへと押し上げるか)。

3DEXPERIENCEエグゼクティブ・センター 3DEXPERIENCEエグゼクティブ・センターについて ※出典:ダッソー・システムズ

 また説明会では、日本法人の新たな取り組みとして、3DEXPERIENCEプラットフォームのメリットを体感してもらい、ビジネス変革に向けたディスカッションが行える場として「3DEXPERIENCEエグゼクティブ・センター」を同社 東京オフィスに開設することを明らかにした。「完成は2019年7月を予定する。複数の大型タッチパネルディスプレイを配した空間で、経営層に対して3Dを中心としたコラボレーションが企業の競争力強化や継続的成長に不可欠なものだということを理解してもらい、ビジネス全体にどのような価値をもたらすか、その可能性を実際に体感してもらう場として活用していく」(山賀氏)。

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