ダッソー・システムズは、同社のシミュレーションブランド「SIMULIA」に関する記者向けセミナーを開催。SIMULIAブランドの現状と役割、そして市場トレンドにおけるSIMULIAの活用ポイントについて説明した。
ダッソー・システムズは2019年9月24日、同社のシミュレーションブランド「SIMULIA」に関する記者向けセミナーを開催。SIMULIAブランドの現状と役割、そして市場トレンドにおけるSIMULIAの活用ポイントについて説明した。
冒頭、同社 SIMULIA事業部 事業部長の石川和仁氏は「これまでは、どちらかというとメカニカルな領域のシミュレーションが多かったが、企業が近年直面しているさまざまなビジネス課題を解決するためには、新たなシミュレーション技術が必要だ」とし、SIMULIAブランドがここ数年、多くのツールを買収することで適用分野を拡大してきた背景について触れた。
そして、さまざまな産業分野に同社のシミュレーション技術を適用していくためには、「最先端のシミュレーションツール」「3DEXPERIENCEプラットフォームによる協調設計」「Industry Process Experienceの提供」の3つが不可欠であると説明。石川氏は「さまざまな物理現象を正確に捉えるためには、何よりも最先端のシミュレーションツールが必要だ。また、製品開発が複雑化する中、複数のシミュレーションを共通のプラットフォームを介して管理し、トレーサビリティーを確保することも重要となる。単にツールを提供して終わりではなく、シミュレーション技術で産業界の課題をどう解決できるかを提案することが求められる。われわれにはこうした要求に応える用意がある」と、同社のシミュレーション技術を広く展開していくために必要な考えを述べる。
その一方で、シミュレーションツールも機能そのもの以上に、いかに実用的なものであるかが問われてくるという。
ここでいう実用的とは、シミュレーションの速度が高速であること、シミュレーションの精度が高いこと、安定して計算結果が得られることの3つを満たすことに他ならない。同社は最先端のシミュレーション手法をベースに、これら3つの要件を満たす“実用的な”製品ポートフォリオを展開することで、競合他社との差別化を図っている。また、設計開発におけるデータ管理も従来のファイルベースではなく、3DEXPERIENCEプラットフォームによる一元管理にシフトすることで、設計時間の大幅な短縮、関係者同士のコラボレーションの効率化が可能になるとする。
こうしたシミュレーションツール、プラットフォームの強みとともに、同社が重要視しているのが、Industry Process Experienceの提供だ。石川氏は「実際のお客さまの課題に対し、われわれは複数のツールを組み合わせた最適なソリューションを提供することで、課題解決および価値発揮に貢献する」と述べる。
近年顧客が抱えるビジネス課題の例として、石川氏は5GやCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)に代表される新たな技術要素を適用した製品開発の難しさ、そして地球環境保護を目的とした厳しい規制などを挙げる。
「新技術を適用した製品開発では、コストの問題はもちろんだが、過去の経験に基づいたモノづくりができないという難しさがある。そういう分野では、課題を事前に検証できるシミュレーション技術の活用が有効になる。従来の製品開発アプローチのままでは手戻りが発生し、製品リリースにも影響するなど機会損失を招きかねない」(石川氏)
また、石川氏は「規制強化に関しても、自動車業界を中心に厳しい規制や認証試験があるため、これらにしっかりと対応していかないと大きな機会損失や保証の問題を引き起こしかねない」と警鐘を鳴らすとともに、その解決策としてデジタル認証ソリューションの有効性を訴える。同社は、物理風洞試験をシミュレーションで置き換えた「乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)」に関するデジタル認証ソリューションを展開しており、規制対応を含めたシミュレーションの活用、そして車両開発全体におけるデジタルトランスフォーメーションの実現の重要性を強調する。
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