CIPでは、ユースケース横断で共通に使われるパッケージを選別し、CIPコアパッケージとして定義しています。このようなCIPコアパッケージを検討するのがCIPコアチームです(図6)。
図6 CIPコアチーム(クリックで拡大) 出典:Open Source Summit Europe 2018での小林良岳氏、Urs Gleim氏講演「Two Years Experience of Industrial-grade Open Source Base Layer Development and its Future」に基づき作成CIPコアパッケージとして、Debianでのパッケージ名とバージョンを参照しています。2017年に最初にリリースされたCIPコアパッケージ数は数十にすぎませんが(図7)、これら限定したパッケージにCIPとして注力し10年間サポートを実現することを狙ってのことです。
図7 初期リリースでのCIPコアパッケージ(クリックで拡大) 出典:Open Source Summit Europe 2018での小林良岳氏、Urs Gleim氏講演「Two Years Experience of Industrial-grade Open Source Base Layer Development and its Future」に基づき作成現在CIP SLTS4.19に対応するCIPコアパッケージの選定作業中ですが、Debian Busterをベースに検討しています。他のCIP作業部会やCIPメンバー企業からのパッケージ追加要請なども踏まえ、対応するパッケージは2017年時のリリースより増える予定ですが、具体的にはまだ議論中です。
ビルドシステムは各CIPメンバー企業に委ねており、例えば東芝やサイバートラストは、YoctoプロジェクトのPokyをビルドシステムとして使用し(注:Pokyはレファレンスディストリビューションの意味で使われることもありますが、本稿ではビルドシステムとして扱っています)、レシピに基づいてパッケージをビルドするmeta-debian方式を採用しています。東芝はこのmeta-debian方式に基づいた組み込みディストリビューションDebyを提供しています。また、シーメンスはDebianバイナリを活用するISAR方式を採用しています。
DebianではLTS期間を含め、原則5年間のサポートを行います。CIPでは、Debian LTSに投資を行い、CIPコアパッケージに含まれるパッケージ群をDebianのELTS(Extended LTS:延長LTS)として扱えないかをDebianコミュニティーと議論しています。このように、なるべく10年に近いサポートをDebian側で実現することを目指し、残余期間はCIPでの対応を検討しています。
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