3社はNTTドコモが主催する5Gオープンパートナープログラムの中で関係性を深めてきた。同社 執行役員 5Gイノベーション推進室長の中村武宏氏は「このプログラムには2800社以上が参加しているが、製造業の比率は17%で業種別で3位となっている。産業界から5Gの引き合いは大変強い」と述べる。
今回の実証実験ではさまざまな課題が想定されている。有線ネットワークで実現していた、モノづくりに求められる高信頼、高品質な通信を無線で実現することや、多くの金属類が存在する特殊無線伝搬環境への対応、工場内機器から生じるノイズ影響への対策などだ。
また、NTTドコモは2019年9月4日に、今回の3社の枠組みと同じく5Gを活用した製造現場の高度化に向けた共同検討を始めることでファナック、日立製作所と合意している。製造現場で5Gを活用するための知見がNTTドコモに集まることになるが「各社との秘密保持契約に抵触しない範囲で、できるだけ知見やノウハウを共有できるようにしたい」(中村氏)としている。
ノキアの基地局事業の国内展開を担うノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 NTT事業本部長の木田等理氏は「コンシューマー向けのサービス中心の収益は横ばい状態だが、5G時代の産業向けIoT市場は大きく拡大する可能性がある。その市場ポテンシャルは、全体で320兆~900兆円、今回の実証実験と関わる工場だけで見ても130兆~400兆円ある」と見込む。
なお3社は、「IIFES2019」(2019年11月27~29日、東京ビッグサイト)において、工場における5G導入の実証実験に関する展示を行う予定だ。
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