こちらは第1法則と比べてやや難しくなりますが、「回路中の任意の閉じた経路を1周したとき、電圧上昇を『正』、電圧降下を『負』とすると、それらの和は『0』である」という法則です。ざっくり言い換えると、“任意の閉じた回路内の電源電圧(正)は、回路内に接続している抵抗や部品などの負荷にかかる電圧(負)と等しい”ということになります。
ここで図3の回路をご覧ください。この回路は、抵抗を用いることで電圧を分けて小さくしています。「入力信号を小さくしたい」「可変抵抗器と併用して、信号の大きさを任意で変えたい」といった目的で、このような回路を組むことがあります。この場合、回路内にある抵抗R1、R2に流れる電流の大きさは同一ですが、電源電圧は抵抗の比率によって分かれます。これを「電圧の分圧」と呼びます。
分圧の値を知るには、以下のような計算を行います。
R1側の電圧は単純に、算出したVoutの値「3.4375V」を5Vから差し引いた値(1.5625V)となります。
ここまで「回路」とひとくくりにして説明してきましたが、電子回路には「デジタル回路」と「アナログ回路」があります。「ふーん。最近はちょっとした家電さえもデジタルばかりだから、アナログ回路を使った製品は少ないんじゃないの?」などと思ってはいけません。回路における“アナログ”と“デジタル”の違いは、そろばんと電卓の違いとは別世界の話です。
デジタル回路とは、「0」と「1」で表されるデジタル信号(パルス)を入出力して実現させる回路のことで、「論理回路」とも呼ばれます。信号のあるときが「1」、信号のないときが「0」で、さらに「1」の状態を“High”、「0」の状態を“Low”と呼び、このHighとLowの組み合わせで実現します。デジタル回路が単独で作動しても「1」か「0」、あるいは「オン」か「オフ」しかないので、しょせんただの信号でしかなく、それには何の意味もありません。実は、このデジタル信号を意味のあるものにするために、アナログ回路が必要なのです。
アナログ回路は、電圧や電波などの連続的な信号を取り扱う回路で、これらのアナログ信号を増幅させたり、減少させたり、波形を変形させたりなどして電子回路の動作を調整します。電波や光、音といったアナログ信号をデジタル回路で処理したい場合、「0」か「1」かのデジタル信号に変換しなければなりません。そのための処理を行うのもアナログ回路の役目です。
このように、一般的に「デジタル全盛! アナログはもう古い!」と思われている現在であっても、実は“アナログ回路なくしてデジタル化は成り立たない”といったことがたくさんあるのです。
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