本連載でこれまでも何度かオーストラリアのデジタルヘルスを取り上げたが、医療機器の分野でもユニークな動きを見せている。
本連載第31回、第34回、第42回で、オーストラリアのデジタルヘルスを取り上げたが、医療機器の分野でもユニークな動きを見せている。
2019年7月18日、オーストラリア連邦政府保健省傘下の薬品・医薬品行政局(TGA)は、「業界向け医療機器サイバーセキュリティ・ガイダンス第1版」と「ユーザー向け医療機器サイバーセキュリティ情報第1版」を公表した(関連情報)。
TGAは、サイバーセキュリティに限らず、医療機器および体外診断用(IVD)医療機器の製造業者が順守すべき事項として、以下のような「医療機器基本原則(EP)」を掲げている(関連情報)。
米国の場合、医療機器業界向けのサイバーセキュリティについては保健福祉省(HHS)傘下の食品医薬品局(FDA)がガイドライン類を整備する一方、医療機器を導入・運用する医療施設向けのサイバーセキュリティについては、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)を所管するHHS傘下の公民権室(OCR)や、重要インフラを所管する国土安全保障省(DHS)傘下のサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)などがガイドライン類の整備を行ってきた。
これに対してオーストラリアの場合、TGAが、2016年に制定された「オーストラリアサイバーセキュリティ戦略」(関連情報)や医療機器基本原則をベースとして、包括的な観点から、業界向けおよび医療施設/ユーザー向け双方のガイドラインを取りまとめている。
今回公表された「業界向け医療機器サイバーセキュリティ・ガイダンス第1版」では、以下のような事業者を対象としている。
本連載第27回で取り上げたSaMDも、TGAのサイバーセキュリティの規制対象として明記されている。
TGAは、図1に示すような形で、IoT(Internet of Things)、デジタルヘルス/IoMT(Internet of Medical Things)、医療情報技術、規制対象医療機器などの関係を捉えた上で、これらの技術に潜む脆弱性(Vulnerabilities)に注目し、悪用(Exploits)、脅威(Threats)、リスク(Risks)といったサイバー関連課題の解決に役立つものとして、サイバーセキュリティを位置付けている。
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