交通政策白書2019では、現在の交通における課題として下の3つを挙げている。
この3つについて、それぞれ交通政策白書2019の第2部に示されたデータを基に詳しく見ていきたい。
交通政策白書2019では、地方部において人口減少と急速な少子高齢化が進展し、輸送人員の減少、公共交通サービスの縮小が進展していると指摘する。
日本の人口は、2008年に1億2808万人とピークに達した後、減少局面に転じ、特に、年少人口(15歳未満の人口)と、生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の減少が進んでいる(図5)。他方、高齢者人口(65歳以上の人口)は増加を続け、高齢化率(65歳以上人口割合)も2015年には26.6%と急速に上昇している。こうした傾向は将来にわたり続くことが見込まれており、交通政策白書2019では、このことが通学需要の減少や、高齢者の就業者数の増加による都市部を中心とした輸送人員の増加、自家用車による移動に依存している地方部の高齢者の移動手段の確保など、交通にも影響を与えていると推察している。
都市部の総人口は日本全体の人口が減少に転じてからも緩やかながら増加し、2018年には6480万人(1980年の18%増)となっている(図6)。他方、地方部の総人口は、2001年にピークに達した後、人口減少に直面し、2018年は6165万人(1980年の1.1%減)となった。今後は、都市部も含めて人口減少に直面していくと予測されているが、人口減少度合は地方部の方が急で、2045年には2018年時点より21%減少すると予測されている一方、都市部は11%程度の減少と予測されている。
高齢者人口については、人口・人口比率ともに、都市部と地方部のいずれも上昇を続けているが、地方部の方が上回っている(図7)。今後、都市部の高齢者人口はペースを落としながらも長期にわたって増加していくのに対して、地方部の高齢者人口は2025年ごろまで緩やかに増加した後はほぼ横ばいで推移すると見込まれる。他方で高齢者人口比率は、都市部でも地方部でも上昇を続けると見込まれている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.