「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

真にデジタル化しなければ、モビリティは生き残れない!和田憲一郎の電動化新時代!(34)(2/4 ページ)

» 2019年07月22日 06時00分 公開

貴州ビッグデータバレーとは

図2:貴州省とは(クリックして拡大) 出典:日本電動化研究所

 貴州省を訪問した主な理由は、データセンターの見学もそうだが、貴州省の省都である貴陽市で「中国国際ビッグデータ産業博覧会」が開催されたからだ。貴州省は重慶市や四川省の南に位置する省だが、中国国内でもあまり知られていない。人口約4000万人で、その3分の1が少数民族といわれている。貴州省は中国で長い間、最も貧しい地域とされていた。山に囲まれた地域のため産業がなく貧困に苦しんでいたのだ。

 しかし、先述した地理的特徴を生かして、2014年に中国初のビッグデータ総合試験区として国家経済新区に指定された。指定を受けた貴安新区の面積は1795km2で、日本の最小県である香川県の面積1862km2とほぼ同等だ。貴安新区はITや新エネ車、航空宇宙、医療などの企業や研究機関を集め、数多くのデータセンターも建設されて、中国最大のビッグデータバレーを目指しているようだ。ここに、2030年には人口260万人の誘致を計画している。

図3:中国国際ビッグデータ産業博覧会(クリックして拡大) 出典:日本電動化研究所

 毎年開催される国際ビッグデータ産業博覧会は、国内外から多くの企業関係者が訪れる。今回も、テンセントやアリババ、ファーウェイといった主要IT企業のみならず、通信や交通など多彩な企業が出展していた。なお、日本からの参加企業はNTTデータのみだった。また、子ども連れも多かった。聞いてみると、博覧会の開催中は近隣の学校や企業は全て休みとなり、協力体制をとっているようだ。

 余談だが、ファーウェイの創業者でCEOを務める任正非氏は、貴州省安順市鎮寧プイ族ミャオ族自治県の生まれである。極貧の地域から出発し、ファーウェイを創業して今の規模にしてきた。5Gで先頭を走る最先端企業の創業者が、中国で最も貧しいと言われた地域から出ていることに驚かされる。

 さて、日本のデジタル化、ビッグデータ化はどうだろうか。先般、スイスのビジネススクールIMDの調査による「2019年の世界競争力ランキング」では、ビッグデータの活用に関して日本は調査対象国の中で最下位と報道された。文部科学省は2022年度から新指導要領で、高校でのプログラミング教育の必修化を打ち出しているが、教える教師が不足するなど出遅れ感は否めない。

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