また、現在注目を集めている、企業や自治体が独自に自営のセルラー通信ネットワークを構築するプライベートLTEやローカル5Gについても説明した。
2024年に向けて、プライベートLTEやローカル5Gの導入を積極的に進めそうなのが、製造業、物流・倉庫、公共分野だ。藤岡氏は注目を集める理由について「サービス品質」「セキュリティ」「隔離された環境」「明確な責任の所在」を挙げる。
エリクソンが手掛けるプライベートLTEの事例としては、オランダRotterdam World Gatewayによる船舶からの積み荷を運搬するためのAGVの制御や、カナダAgnico Eagle地下金鉱内における通信、オーストラリアRoy Hillの露天掘り鉄鉱山における自動運転ダンプなどの制御、ドイツの電気自動車ベンチャーe.GOの工場内ネットワークがある。これらの多くで、ローカル5Gへの拡張が検討されている。
米国や中国を中心にグローバルで普及が加速しそうな5Gだが、日本での普及はそれほど早く進まないのではという予測も出ている。例えば、既に5Gを導入している韓国の場合、数万の基地局を展開しており、加入契約数は100万を達成している。2019年末には加入契約数は500万、人口カバー率は90%に達するという計画も出ている。藤岡氏は「日本の通信キャリアは、それらと比べると控えめな計画になっているのは確かだ。ただし、海外の動向を見て計画を見直す可能性もある」と説明する。
また、日本国内におけるプライベートLTEやローカル5Gの動向については、「当社への引き合いが増えているものの、現時点では使用できる周波数の使い勝手があまりよくないなどの課題があり、一気に需要が伸びることはないだろう。まずはトライアルを進めて本当に使えるものなのかを見極め、利用周波数などの法整備が進んでからになるのではないか」(藤岡氏)としている。
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