特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

スキンケアをIoT化する資生堂、1週間後の不調を予期した手入れに製造業IoT

資生堂は2019年7月1日、東京都内で会見を開き、IoT(モノのインターネット)スキンケアサービス「Optune(オプチューン)」の提供を同日から開始すると発表した。スマートフォンアプリで収集した肌の状態や睡眠の質を基に、一人一人のその日の肌の状態に合わせたスキンケアを実現する。同サービスのスキンケア用品は使用状況に合わせて使い切る前に注文、発送することができる。利用料金は毎月定額で1万円となる。

» 2019年07月02日 14時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
5種類の基礎化粧品のカートリッジが内蔵された「IoTマシン」とスマートフォン(クリックして拡大)

 資生堂は2019年7月1日、東京都内で会見を開き、IoT(モノのインターネット)スキンケアサービス「Optune(オプチューン)」の提供を同日から開始すると発表した。

 スマートフォンアプリで収集した肌の状態や睡眠の質を基に、一人一人のその日の肌の状態に合わせたスキンケアを実現する。同サービスのスキンケア用品は使用状況に合わせて使い切る前に注文、発送することができる。利用料金は毎月定額で1万円となる。

 オプチューンは、5種類の基礎化粧品のカートリッジが内蔵された「IoTマシン」を使用する。その日の状態に合わせて、カートリッジから適切な量が出てくる。IoTマシンが出した基礎化粧品を2回に分けて肌に塗ることで、スキンケアが完了するという流れだ。ユーザーが自己申告で入力した気分や希望する質感の他、自動的に取得した気温や紫外線、花粉など天候の情報も反映し、IoTマシンはカートリッジから出す量を調整する。5種類のカートリッジから出てくる基礎化粧品の量や種類の組み合わせは8万通りに上る。

 新サービスは、iPhone 6s以降、iOS 11以降のスマートフォンが必要になる。水分量やきめ、皮脂量、毛穴の目立ち具合といった肌の状態の測定は、スマートフォンのカメラで撮影した画像を基にしている。使用する画像は、連写で撮影した画像の中から最適なものが選ばれているという。この分析結果がIoTマシンと連携する。IoTマシン向けのWi-Fi通信環境はユーザーが用意する必要がある。

スマートフォンのカメラで肌の状態を測定する様子(左)。肌の状態を基に5つのカートリッジから基礎化粧品が出てくる(右)(クリックして拡大) 出典:資生堂

 睡眠の質はアプリの睡眠測定機能で判定する。就寝中の動きを基に体内リズムの乱れを推定し、翌日以降のスキンケアに反映させる。資生堂の調査では、就寝中に5〜10分間でも睡眠が中断すると、自律神経機能やホルモン分泌リズムが変化することで体内リズムが乱れ、適切な水分量や皮脂量が保たれなくなる。水分量は1週間後に低下し、皮脂分泌量は睡眠中断後に減少してから1週間元の水準に戻らなかった。体内リズムの乱れを検出すると、IoTマシンはこうした肌の変化を踏まえた予防的な配合となるようにカートリッジを制御する。

 オプチューンのスマートフォンアプリでは、IoTマシンの利用状況やユーザーの肌や睡眠、体調の記録を残し、使用期間が長くなるにつれて、よりパーソナライズできるようにする。女性が1カ月にスキンケアにかける金額はばらつきが大きく、「一概に平均額ではいえない。ただ、カートリッジをその都度購入してもらうベータ版のときの時よりも、お得な料金体系となっている」(資生堂の担当者)。

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