ジェイテクトの主力事業の1つである工作機械・メカトロ事業では、IoT(モノのインターネット)をはじめとする「IoE(Internet of Everything)」を生かした工作機械の知能化や自律化、生産ラインの前後工程が連携したスマートファクトリー化などが求められている。同社 会長の須藤誠一氏は「技術進化が加速する中、当社だけでの開発に限界があり、オープンイノベーションが必要だと考えていた。産総研 理事長の中鉢(良治)氏とは以前から交流があり、1年前からは両者で共同研究を行うなど交流を進めてきた。今回の冠ラボの設立でさらに関係を深められるだろう」と語る。
約2300人の研究者が7つの領域で研究を行っている産総研は現在、産業界と密接に連携した技術の“橋渡し”を推進している。中鉢氏は「技術の実用化を加速するための制度が冠ラボだ。ジェイテクトが持つ工作機械・メカトロや生産ライン構築の技術と、産総研のセンサーやデータ解析、モデルベース設計の技術を融合して、加工機が自律的に生産する知能化に取り組んでいく」と述べる。
なお、ジェイテクトの研究開発拠点は、刈谷(愛知県刈谷市)、伊賀(三重県伊賀市)、奈良(奈良県橿原市)、国分(大阪府柏原市)など東海地方の以西を中心に展開している。首都圏で研究開発を行うことになる冠ラボと、他の研究開発拠点との連携については「研究開発を行うつくばセンター東事業所には既に当社の円筒研削盤を持ち込んでおり、冠ラボでの活動をしっかりと進められる手応えは得ている。ITシステムの進化により、遠隔で他拠点と連携するための環境整備も容易になっており、東京・銀座に新たに設けたオープンイノベーション拠点『G-JOIN』も活用できると考えている」(ジェイテクト 執行役員 研究開発本部 本部長の林田一徳氏)としている。
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