パイオニアがキヤノンと自動運転用LiDARを共同開発、2020年以降の量産へ自動運転技術

パイオニアとキヤノンは2019年4月17日、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の共同開発契約を締結したと発表した。パイオニアはキヤノンが保有する光学技術やノウハウを取り入れることで、高性能な小型LiDARを実現を早めたい考えだ。

» 2019年04月18日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 パイオニアとキヤノンは2019年4月17日、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の共同開発契約を締結したと発表した。パイオニアはキヤノンが保有する光学技術やノウハウを取り入れることで、高性能な小型LiDARの実現を早めたい考えだ。

 キヤノンは、長年培ってきた光学技術をさまざまな産業に融合、拡大することに取り組んでいる。パイオニアとの共同開発により、自動運転用センサーなどで光学技術の需要拡大が見込まれる自動車分野を強化する。

 パイオニアは2020年以降の量産に向けて、小型で低コストなMEMSミラー方式のLiDARの開発を進めている。2018年9月にはサンプル出荷を開始、現在は量産準備を進めている。レベル3の自動運転システムが普及し始める2023〜2025年ごろに、事業全体で数百億円規模の売上高を目指す。また、LiDAR向けに物体認識や自車位置推定のアルゴリズムの開発も並行して進めている。また、パイオニアは2019年1月に自動運転に関する研究、技術開発や事業開発を統合する新組織を立ち上げた。

 パイオニアは2017年9月にLiDARの第1世代をサンプル出荷した。第1世代はHUD(ヘッドアップディスプレイ)のMEMSミラーを流用するなど原理実証機という位置付けだった。2018年9月にサンプル出荷を開始したのは第2世代で、専用のMEMSミラーに置き換えることで、小型化と基本性能の向上を図った。

 レベル3以上の自動運転システムでは、作動中のドライバーによる周辺監視が不要となる。そのため、センシングの冗長性を担保する理由で、カメラやミリ波レーダーにLiDARを加えた複数の検出方式が採用される見通しだ。また、LiDARの分解能の高さは、走行可能なスペースや小さな障害物などを検知する上でも重要になる。

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