ドイツのSiemens(シーメンス)は2019年4月1日(現地時間)、ハノーバーメッセ2019でプレスカンファレンスを実施し、新しい技術群によりインダストリー4.0などで描かれるコンセプトがさらに拡張していけることを訴えた。
ドイツのSiemens(シーメンス)は2019年4月1日(現地時間)、ハノーバーメッセ2019(2018年4月1〜27日、ドイツ・ハノーバーメッセ)でプレスカンファレンスを実施し、新しい技術群によりインダストリー4.0などで描かれるコンセプトがさらに拡張していけることを訴えた。
シーメンスは毎年、ハノーバーメッセでの出展テーマを用意しており、2015年は「On the way to Industrie4.0:The Digital Enterprise(インダストリー4.0に向かう途上)」、2016年は「Driving the Digital Enterprise(デジタルエンタープライズを加速)」、2017年は「Discover the Value of the Digital Enterprise(デジタルエンタープライズの価値の探索)」、2018年は「implement now!(今実装する時)」としていた。2016年、2017年と徐々にインダストリー4.0のコンセプトで描かれたものが現実化し、2018年の時点で多くの具体的な製品やサービスが登場。これらが導入レベルに達していることを訴えたという流れだった。
2019年はこれらを新たに巻き直す「Thinking industry further!(産業をさらに考えよう)」というテーマを掲げた。
シーメンス 取締役でデジタルインダストリーズ分野のCEOであるクラウス・ヘルムリッヒ(Klaus Helmrich)氏は「2018年の時点で『実装』を訴えたが、多くの製品やサービス、ソリューションなどが登場し、思い描いたカタチになってきたと手応えを感じている。しかし、世界がデジタル化に進んでいく中で産業そのものをデジタル化し新たな価値を作り出していくには、モノづくりにおける全ライフサイクルにおいて、さまざまな領域で必要なものを考えていかなければいけない」と訴え、デジタル時代に最適なモノづくりへのシフトを強調した。
これらのポイントとして挙げるのが「データの活用法」「プラットフォーム群」「先進技術の活用」である。「シーメンスは全ライフサイクルにおいて、これらを支えるソリューション群をそろえていることが特徴だ」とヘルムリッヒ氏は述べている。
シーメンスは、製造業のモノづくりにおける現実世界におけるさまざまなハードウェア群とソフトウェア群を保有しており、これらの情報を一元的に最適な形で活用できる仕組みを作れるということが特徴である。
同社が“産業用OS”として推進する「MindSphere(マインドスフィア)」については、欧州やアジアから既に90のパートナー企業が参加。2018年に国ごとにパートナー企業を組織するMindsphereワールドが発表されたが、ドイツが53社、イタリアが18社、シンガポールが15社、韓国が5社となっている。日本ではまだ組織されていないが、2019年中には開始する予定だとしている。
さらに、ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲン(VW)で、産業用クラウドとして採用が決まったことなども紹介。VWが保有する122の工場全てでデータを収集するクラウド基盤としてマインドスフィアを採用するという。シーメンスとVWでは今後、さらに工場内で使用する機械メーカーや装置メーカーなどとも協力し、マインドスフィアで活用する新たな機能やアプリケーションなどを共同開発していくとしている。ヘルムリッヒ氏は「エンジニアリングから最終的な生産工程まで全てをカバーできる点が評価された。総合力が強みだ」と語る。
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