ハノーバーメッセ2019では新技術を採用した製品などを積極的に取り入れて発表したことも特徴である。
新たに製品投入を発表したのが「インダストリアルエッジデバイス」である。従来はオートメーション機器や産業用PCなどで一部エッジコンピューティングを代替させていたが「エッジ領域だけでデータの流れを還流させることを考えれば重要な端末となる。マインドスフィアのクラウド上でのアプリケーションをこの端末上でも動作できるようにする」(ヘルムリッヒ氏)とし専用端末を用意する。
新たな移動通信システムである5Gへの対応も明確化した。5Gそのものは広く一般向けでも活用される技術であるが、産業向けでの信頼性やパフォーマンスを確保するために「Industrial 5G」と分類し、シーメンスそのものの戦略に組み込んで独自開発を進めていく方針を明らかにした。制御レベルでの環境で実際に5Gを活用しパフォーマンスや信頼性を確保できるかどうかを検証するテストセンターを用意する他、他の通信標準規格との組み合わせの評価なども進めていく。
ヘルムリッヒ氏は「5Gは非常に大きな技術だ。例えば、マインドスフィアからリアルタイムアプリケーションを動かすようなことも可能になるかもしれない。将来的には産業のデジタル化のインフラとできるようにインダストリアル5Gを推進していく」と述べている。
その他、サプライチェーンにおけるトレーサビリティーを確保するためにブロックチェーン技術を活用したセキュリティ確保に導入を進めていく方針を示した他、新たに無人搬送車(AGV)への参入も発表。さらにエンジニアリングツールの「TIAポータル」のクラウド対応や、CADツール「NX」にAIおよび機械学習を取り入れたことなどを紹介した。
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