デジタルツインを実現するCAEの真価

流体解析を行う上で必要なこととは? 【その1】解析領域初心者のための流体解析入門(2)(3/3 ページ)

» 2019年04月02日 10時00分 公開
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3.境界条件を決める

 何℃の水が、どのくらいの量流れ込んでくるのか、あるいは出ていくのか、そしてどこでその出入りがあるのかを定義する。

 今回は、一つの流入口から70℃、もう一つの流入口から15℃、一つの流出口からその合計が出ていくものとする。

図8 scFLOWの場合 図8 scFLOWの場合
図9 SOLIDWORKS Flow Simulationの場合 図9 SOLIDWORKS Flow Simulationの場合

 後はメッシュを作成する。ここのプロセスはscFLOWの方がより厳密だ。八分木を作成し、その上でメッシュを作成する。一見面倒そうだが、全体の要素数をどうするか、どこを局所的に細かくするか、境界層をどうするかなどを意図的にコントロールできる。

 一方、SOLIDWORKS Flow Simulationは、もちろんメッシュ作成に対する制御は可能だが、構造解析の「SOLIDWORKS Simulation」と同様に、メッシュを一度も目にすることなく、[実行]ボタンをクリックするだけで一気に実行からポストまで進んでくれる。

4.ポスト処理

 最後は結果処理だ。今回は定常解析なので最終的に落ち着いたところの結果が示される。流速ベクトルや温度分布のコンター図が確認できるなど、基本的な情報はどちらのソフトウェアでも同じだ。

図10 scFLOWの場合 図10 scFLOWの場合
図11 SOLIDWORKS Flow Simulationの場合 図11 SOLIDWORKS Flow Simulationの場合

 ということで、今回は基礎講座として解析領域の話を前半に、実際の解析の簡単な流れを後半に示した。次回以降も同様のスタイルでお届けしたい。(次回に続く


Profile

水野 操(みずの みさお)

1967年生まれ。mfabrica合同会社 社長。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。3D-GAN理事。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わった他、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開。2016年に新たにmfabrica合同会社を設立し、3D CADやCAE、3Dプリンタ関連事業、製品開発、新規事業支援のサービスを積極的に推進している。著書に著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)などがある。


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