半月板断裂部位への滑膜幹細胞移植技術に関する特許ライセンス契約医療機器ニュース

富士フイルムと東京医科歯科大学は、半月板損傷を対象とした、自家間葉系幹細胞の移植技術に関する特許ライセンス契約を締結した。富士フイルムは、この滑膜幹細胞を用いた再生医療製品の開発、製造、販売の独占的実施権を取得する。

» 2019年03月22日 15時00分 公開
[MONOist]

 富士フイルムは2019年3月5日、東京医科歯科大学と、半月板損傷を対象とした、滑膜由来の自家間葉系幹細胞(滑膜幹細胞)の移植技術に関する特許ライセンス契約を締結したと発表した。この滑膜幹細胞を用いた再生医療製品の開発、製造、販売の独占的実施権を取得する。東京医科歯科大学は、同社より契約一時金、開発マイルストーン、売上ロイヤルティーを受け取る。

 契約対象となった技術は、同大学再生医療研究センター 教授の関矢一郎氏らが開発。まず、小さな傷口で施術可能な関節鏡を用いて、断裂部位を縫合することで半月板の形を整え、同時に膝関節内の滑膜を採取する。その滑膜から分離した滑膜幹細胞を約2週間培養し、細胞浮遊液を作製して半月板断裂部位に投与する。投与した細胞浮遊液中の滑膜幹細胞が半月板に生着し、修復を促進することで、膝の曲げ伸ばしや立ち上がる際に感じる痛みや引っ掛かり、不安定さなどの改善を図る。

 同技術は、施術時の患者の身体的負担を軽減する他、半月板縫合術が適応されない患者に対して、半月板を温存したままで症状の改善が期待できる。また、半月板を温存することで、変形性膝関節症の発症を抑えられる。

 今後富士フイルムは、同技術に加え、子会社のジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの持つ細胞培養や品質管理に関するノウハウなどを活用し、半月板損傷を対象に滑膜幹細胞を用いた再生医療製品の実用化を進めるとしている。

photo 滑膜幹細胞移植による治療方法(クリックで拡大) 出典:富士フイルム

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