日立産業制御ソリューションズは、鋳造シミュレーションシステム「ADSTEFAN Ver.2019」を日本、インド、中国、東南アジア地域で販売する。新たに砂型鋳造向けの鋳型内ガス流れ解析機能を搭載した。
日立産業制御ソリューションズは2019年3月1日、鋳造シミュレーションシステム「ADSTEFAN(アドステファン)Ver.2019」を日本国内で発売した。今後、同年4月1日より、インド、中国、東南アジア地域で販売を開始する予定。日本語、英語、中国語の3言語に対応し、年間150ライセンスの販売を目指す。
「ADSTEFAN」は、素形材の製造現場での鋳造欠陥を事前に予測する鋳造シミュレーションシステム。直接見られない鋳型内への溶融金属の流入や凝固状態をシミュレーションし、その過程を3次元で表現する。
最新版では、既存機能の精度を向上し、解析時間を短縮。また、東北大学安斎研究室と共同開発し、岩手大学鋳造技術研究センターとの実証実験で性能を確認した砂型鋳造向けの鋳型内ガス流れ解析機能を新たに搭載する。砂型鋳造で発生したガスの鋳型内での動きを考慮した、より現実に近いシミュレーションができる。
鋳型内ガス流れ解析機能は、砂型内のバインダーから発生した燃焼ガスの流れや圧力を解析でき、ガスの圧力が高い箇所で生じやすい鋳造欠陥を予測する。解析結果を活用し、ガス流れを考慮した設計ができる。
従来の拡張機能として、移動物体の回転移動機能の追加や湯流れ解析のマーカー挙動を高精度化。ラドルやプランジャーチップ、ストッパー、鋳型などの移動状態の制御方法に回転移動を追加し、並行移動と組み合わせてより実鋳造に近い湯流れ解析ができる。マーカー機能は酸化皮膜や破断チルの発生状況や溶融金属内での挙動を追跡する専用の物理モデルを導入し、より実鋳造に近いシミュレーションができる。
他に、解析したい部位を限定する計算範囲指定機能を追加。解析実行中に並列解析をした際に生じる解析結果データの統合処理をし、ファイルの入出力を削減する。これらにより解析結果の可視化処理を高速化し、解析時間を短縮している。
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