シーメンスPLMソフトウェアは2019年3月14日、東京都内で記者会見を開催し、積層造形(AM:Additive Manufacturing)における同社の取り組みと採用事例について説明した。
シーメンスPLMソフトウェアは2019年3月14日、東京都内で記者会見を開催し、積層造形(AM:Additive Manufacturing)における同社の取り組みと採用事例について説明した。
3Dプリンタで迅速な試作を行ったという事例もよく耳にする現在、積層造形の活用フェーズは量産現場に移行しつつある。記者会見に登壇した積層造形ソリューション担当バイスプレジデントを務めるアーロン・フランケル(Aaron Frankel)氏は、積層造形を量産現場へ活用するメリットとして、従来の加工法に縛られないことによる製品価値の再創造と製造工程の再発明を挙げた。
これにより企業は「各顧客にマッチした製品を提供できるとともに、コストがかかる金型や冶具の開発を省略できる。最適なプロダクトミックスを実現し、ビジネス全体が改善する」(フランケル氏)恩恵を受けることができるという。
一方で、量産での積層造形導入には今もなお障害が数多く存在する。フランケル氏は「設計が積層造形のメリットを生かせていない」「モノづくりの各プロセスが互いに連携せず寸断している」「各造形法の経験が浅く造形に失敗する」「設計、製造プロセスで手作業が多い」といった4つの課題を紹介。これら課題の解決のため、積層造形への最適化設計を支援するデジタルスレッドツール活用が求められると指摘した。
シーメンスでは積層造形の量産現場活用を「ハード、ソフトの両面で進めている」(フランケル氏)。シーメンスPLMソフトウェアにおいても3D CADツール「NX」やシミュレーションプラットフォーム「Simcenter」、PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)ツール「Teamcenter」を積層造形に対応させ、製品開発時における積層造形適用の検討を容易にするという。
また、オンラインコラボレーションツール「Additive Manufacturing Network」では、設計者と製造者をマッチングさせ、積層造形の活用で製品開発における製造可能性やコストの改善を支援する。
同ソリューションを導入したシーメンスのパワー&ガス事業本部では、ガスタービンの燃焼器製造に積層造形を活用している。ガスタービンはタービン入口温度を高めることで高効率化できるため、高い燃焼温度に耐える燃焼器が求められる。シーメンスでは積層造形を燃焼器製造に適用することで、従来加工法では不可能だった冷却配管設計による性能向上、リードタイムと部品点数の大幅削減を同時に達成した。量産は開始しており、同部品は既に顧客へ納入されているという。
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