IHIは、「国際航空宇宙展2018東京」(2018年11月28〜30日、東京ビッグサイト)に出展し、航空機用ジェットエンジンやH-IIAロケットなどに用いられる各種部品の展示や、金属積層造形(AM:Additive Manufacturing)に対する取り組みを紹介した。
IHIは、「国際航空宇宙展2018東京」(2018年11月28〜30日、東京ビッグサイト)に出展し、航空機用ジェットエンジンやH-IIAロケットなどに用いられる各種部品の展示や、金属の積層造形(AM:Additive Manufacturing)に対する取り組みを紹介した。
ジェットエンジンやロケットエンジンの開発において、IHIが得意とするタービンやファンモジュール、ターボポンプなどの回転部品はエンジンの性能に深く関わる中核部品だ。これら部品では高い性能と信頼性が求められると同時に、昨今ではコスト削減に対する要求が高まってきたという。
AMの活用によって、製造過程の工数削減と従来では実現不可能だった設計を採用できるため、高性能化と高信頼性の両立が可能であるが、加工スループットの低さはAMの課題として挙げられる。
しかし、「H-IIAなどのロケットでは月に1台程度しか製造しないため、設計変更に対して柔軟に対応できるAMのほうが短納期になる」(IHI担当者)とし、「AMは一品ものを作る製造技術としてみるとペイできない技術だが、AMを用いた最適な設計と組み合わせることで航空宇宙産業を大きく革新できる技術」と有用性を見出した。そこで、同社では2013年より金属3Dプリンタを導入し、航空宇宙用部品に向けたAM技術研究に取り組んできた。
同社では、AMを活用するほとんどの場合でパウダーベッド方式を採用。その他の造形方式については、「パウダーフィード方式は修理で用いる場合が多い。バインダージェット方式は低コストが魅力だが、特に大物部品で寸法精度の低下が問題となるので現時点では航空宇宙部品には向かないのではないか」と見ている。
顧客向け部品におけるAMの活用時期について、同社担当者は「研究部門では航空向けで5年以内、宇宙向けではもう少し短い期間で実現したい」と話し、「H3ロケットではコスト削減の要求が高いので、(同ロケットの開発に)AMの活用も視野に入れている」とした。
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