当面Armは、これらCortex-A76AEとCortex-A65AEの組み合わせをADAS向けのソリューションとして提供していく方針であり、これに続くHercules-AEは2020年以降になる見込みだ。先ほど挙げたPhoto01/02には製造プロセスノードが載っていないが、こちらの記事※3)で示したように、Herculesの製造プロセスは7nm+(つまり7nmのEUV)もしくは5nmということになっている。
※3)関連記事:加速するArmのプロセッサロードマップ、ソフトバンクによる買収が契機に
現在、TSMCとサムスンが7nm EUVのリスク生産を行っている最中であり、2019年後半から本格的な量産が始まる。最終的にSoCが出てくるのが2020年、5nmについては順調に行けば2021年中であるが、まぁ2022年くらいを予想しておくのが妥当なところだろう。これとこの推定(図6)を照らし合わせると、Cortex-A76AEとCortex-A65AEの組み合わせは、米国自動車技術会が定める「SAE J3016」に規定されたレベル3の自動運転がターゲットであり、次のHercules-AEは7nm+でプロトタイプ、量産は5nmを使ってレベル4の自動運転をターゲットにする形になると思われる。
この話は別のセッションでもあった。10月18日に行われた“Arm and TSMC Enable Automotive SoC Designs”の中で、Armは現在自動車向けのIPはTSMCの「16FFC」を提供中だが、今後はさらに微細化したプロセスに向けてIPを用意する、としている(図7)。
具体的に何、という話はArm自身言及していないが、Armに続いて登壇したTSMCがこういうスライド(図8)を出した時点でまぁ答えがでているとはいえる。
ちなみに、TSMCは自動車向けに「TSMC9000A」というアセスメントを用意しており、7nmプロセスにもこれが適用される。恐らく、Armの7nmや7nm+/5nm向けのフィジカルIP/POP IPなど、TSMC向けのものはこのTSMC9000Aに準拠する形でリリースされるものと思われる(図9)。
7nmとか7nm+/5nmなどのプロセスは、デザインコストを含むNRE(開発コスト)が膨大な金額になるため、16/14nm FinFETの時に比べると移行の動きが遅いなどといわれている。しかし、ことADASに関する限りは7nm以下でないと実用にならない(5nmあたりが本命になりそう)ということもあってか、Arm自身もこの辺りのプロセスをターゲットに現在IPをそろえている真っ最中である、という動向が伺えたのがArm TechCon 2018の自動車関連の最大の話題としてもよいと思う。
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