2018年後半に入って急激に動きを活発化させているArm。本連載では同社の最新動向について報告する。第1回のテーマはプロセッサロードマップだ。
2018年後半に入ってから急激にArmの動きが活発になっている。同年10月に米国で同社の年次イベントである「Arm TechCon 2018」が開催され、ここで「Neoverse」が発表されているが、これに先駆けて8月にはクライアント向けのロードマップ、9月には(ブログの形で)車載向けのロードマップがそれぞれ発表されるなどしており、2019年以降に向けて活発な動きを見せている。他にもIoT(モノのインターネット)向けとかAI(人工知能)向けなど、さまざまな展開をかいま見せてくれているのが2018年のArmというべきか。まず今回は、プロセッサのロードマップについてご紹介したい。
図1が2018年8月に発表されたクライアント向けプロセッサのロードマップ、図2が同年9月に発表された車載向けプロセッサのロードマップ、そして図3がArm TechCon 2018の基調講演の中で語られたサーバ向け、というかNeoverse向けのロードマップとなる。
車載向けプロセッサの場合、基本はクライアント向けのプロセッサに車載に求められる機能(AEC-Q100準拠とか、ISO 26262など機能安全への対応)を追加したものになるから、おおむね同じと言っていい。ではNeoverse向けはどうかというと、従来は基本的に共通(「Cortex-A15/57/72/75」といったコアが利用されてきた)だったが、Neoverseに合わせた今後の方向性をいろいろ確認したところ「基本的には(=マイクロアーキテクチャレベルでは)共通」ということらしい。さすがのArmでも、クライアント向けとサーバ向けで全く別のマイクロアーキテクチャを開発するほどのゆとりは無いようだ。
ただし実装はというと、例えばキャッシュサイズとかTLBのサイズ、あるいはTLBの持ち方などは当然サーバのワークロード向けとなる。Arm SVP/GM, Infrastructure Business UnitのDrew Henry氏(写真1)いわく「例えば(Intelの)『Core』と『Xeon』は同じマイクロアーキテクチャだが、製品そのものは全く異なる」ということだが、Intelと異なるのシリコンを製造するのはArmの顧客であることだ。ほとんどの顧客は、クライアント向けとサーバ向けは全く異なるものになる(IntelやAMDのように、同じダイを利用して作り分けたりしていない)から、マイクロアーキテクチャはともかくとして構成そのものはもっと大きく異なるものになるだろう。
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