ISO22400を製造業のIoT導入に役立てる方法いまさら聞けないISO22400入門(後編)(1/2 ページ)

製造業を中心にIoTの導入が活発になる中でよく耳にするようになった、生産管理の標準化指標「ISO22400」。後編となる本稿では、ISO22400の応用・発展例として、製造業のIoT導入における生産管理指標として何をどう見て行けば良いのか、指標管理のポイントや最近のトレンドとなる物流総合効率に目を向けた評価指標について解説する。

» 2019年02月13日 10時00分 公開

 前編ではISO22400とは何か、その内容、効果について解説しました。後編となる今回は、その応用・発展例として、製造業のIoT(モノのインターネット)導入における生産管理指標として何をどう見て行けば良いのか、指標管理のポイントや最近のトレンドとなる物流総合効率に目を向けた評価指標について解説します。

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1.生産管理指標のポイント

 生産管理指標は生産上の実力値を客観的に計るものさしとなります。従って、以下の内容で管理できることがポイントとなります。

  • リアルタイム(Real-Time)
  • 測定可能(Measurable)
  • 百分率(Percentage)

 リアルタイムとは、IoT化する際に刻々と変わる変化を見れることをいいます。次に測定可能は、指標の算出式の中の項目(製造原単位)を正しく測定できることです。そして百分率は、文字通りパーセントで表現できることです。

 これら3つを満たしていると誰が測定しても同じ結果になります。例えば、設備総合効率内の設備有効性を算出する際に「正味稼働時間÷稼働時間」としています。正味稼働時間を算出する際には稼働時間から設備停止と段替え時間を差し引くことになります。今は信号灯などの情報で赤(異常停止)、黄(段替え中)、緑(正常動作中)といった情報が取れますので、そのデータを集計すれば問題ありません。これを人が日報でつける形になると人によって精度が異なりますので注意が必要です。

 前編では、ISO22400の指標の代表例として設備総合効率を取り上げました。設備総合効率では、動かしている設備のロスを「設備ロス」「工程ロス」「品質ロス」に分けてサブの指標で管理できるため、どのロスに着目して改善すべきかを判断できることが長所となります。

 しかしながら、製造業では中小の製造業であっても数十台の設備を保有しており、「計画停止」という名目であえて動かしていない設備が存在します。設備総合効率は、計画停止をしている設備は除外しているため、本当に工場内にある設備を有効活用しているかというと疑問な点があります。

 今までは単発の設備が多く、そういった設備を動かすには人が必要となるため、人数の制約で設備が動かせないといった制約が強かったといえます。しかし今後、ロボットや自動搬送機による自動化がさらに進むことを考えると、管理の軸がより設備に移ることになり、いかに必要なものを設備の操業度を上げて生産するかが損益の鍵になります。

 その観点から設備の能力に対して付加価値をどれだけ上げているかを管理する指標として「生産稼働率」が挙げられます。

生産稼働率=生産数×MCT/設備能力(計画停止している設備も含む)

 生産稼働率は、付加価値を生む割合を表していますので、言い換えると「仕事量の確保、負荷」と表現されます。生産稼働率が低いということは、せっかく売れるものを作れる能力があるのに、作っていないということを指します。

 例えば、ある製造業では設備総合効率が90%あるのに、生産稼働率は50%ということがあります。人がいなければ稼働できない設備もありますので、生産稼働率を上げれば全面的に良いというわけではありません。しかし、この指標で管理をする文化でない製造業も多いので、大手製造業も設備総合効率と併せて生産稼働率を見て、この指標を向上するために、外部に出していた作業を内製に切り替えたり、複数の工場で行っていた作業を一箇所にまとめたりといった対応を取るようになっています。

図1 図1 生産稼働率(クリックで拡大) 出典:アムイ

 次に品質を見る指標ですが、良品率よりも直行率があるべき姿です。良品率は良品を表すのに手直しや修正作業を含んでいます。それに対し、直行率は以下のように表されます。

直行率=良品数(手直し含まない)/生産数

 ある製造業の事例では、良品率は90%でしたが、直行率を計ると20%にも満たない状況でした。ラインを見ると、外観検査の工程後に手直し工程が作られており、必ず検査後の手直しをしていました。直行率を見ることにより、手直し作業の改善が改善項目として設定され、改善活動することになりました。意外とこういう点が着目されないことも多くあります。

 まとめますが、生産管理指標として「設備総合効率」「生産稼働率」「直行率」を見ることでかなり、レベルの高いモノづくりにステップアップすることが可能となります。

図2 図2 直行率(クリックで拡大) 出典:アムイ
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