「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

レベル4の自動運転を見据えたデンソーの開発体制、シミュレーションを活用中自動運転技術(1/2 ページ)

デンソーは2019年1月24日、東京都内で記者向けに説明会を開き、研究開発拠点「Global R&D Tokyo」の取り組みを紹介した。

» 2019年01月25日 09時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 デンソーは2019年1月24日、東京都内で記者向けに説明会を開き、研究開発拠点「Global R&D Tokyo」の取り組みを紹介した。

デンソーの隈部肇氏(クリックして拡大)

 Global R&D Tokyoでは、一般道におけるレベル2〜3の自動運転や、限定領域内におけるレベル4までの自動運転に焦点を当てて研究開発を行う。また、品川駅に近い立地を生かし、東京都心や神奈川県内の企業や教育研究機関と積極的に連携することも同拠点の役割となる。

 設立から間もなく1年を迎えるGlobal R&D Tokyoの現状について、デンソー 常務役員の隈部肇氏が説明した。

都内に集まるデンソー関連の開発拠点

 Global R&D Tokyoは2018年4月に開設された。取引先やパートナーとの共創により、先端技術や先進モビリティシステムの企画と早期の開発、都市型自動運転の実証を加速させる目的で設立した。「この分野はパートナーがいないと開発が進まない」(隈部氏)とし、社外との連携や共創を強化、促進することに重点的に取り組んでいる。AI(人工知能)や先端ITに関する人材、ソフトウェアエンジニアの獲得も狙いの1つだ。設立当初は従業員数が200人だったが、現在は270人に人員を拡大している。

 2020年6月には、Global R&D Tokyoの機能を拡充するため、羽田空港跡地エリアにテスト路を備えた試験車両の開発棟とオフィスを設ける。品川の拠点でシミュレーションを活用して開発した技術を、羽田空港跡地の拠点で開発車両に仕立て、実車での検証を行う。羽田空港跡地の拠点は200人体制で立ち上げる計画だ。

 東京都内には、デンソーが関わる開発拠点が複数ある。グループ会社のデンソーアイティーラボラトリ、自動運転車の統合制御ソフトウェアを開発するJ-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)、トヨタ自動車とアイシングループ、デンソーで自動運転技術の先行開発を行うToyota Research Institute Advanced Development(TRI-AD)といった共同出資会社もある。J-QuAD DYNAMICSの親会社はデンソー、アイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトの4社となっている。

 このすみ分けについて、隈部氏は「デンソーアイティーラボラトリとは、開発するAIの用途が異なる。TRI-ADとは技術開発を加速するため一心同体でやっている部分もあり、格別なパートナーだが、他の自動車メーカーとも連携している。デンソーはR&DではTRI-ADと、量産開発ではJ-QuAD DYNAMICSと協力していく」と説明した。

さまざまなレベルの自動運転、どこを担当?

 デンソーは車両の用途や自動運転技術のレベルごとに、自動運転システムの普及の仮説を立てている。自動ブレーキなど予防安全については、乗用車で既に普及が進んでおり、商用車も2020年ごろから普及期に入ると見込む。乗用車のレベル2〜3の自動運転は、自動車専用道路で2020年から、一般道では2020年代前半から普及すると予測する。自動バレーパーキングは2020年から広がる見通し。

自動運転システムの普及見通しとGlobal R&D Tokyoが取り組むテーマ(クリックして拡大) 出典:デンソー

 この中でも、Global R&D Tokyoは、条件が複雑になる一般道における乗用車のレベル2〜3の自動運転に注力する。また、先進モビリティシステムである自動運転タクシー、バスにも取り組む。タクシーやバスとして用いられる自動運転車は、限定された条件の一般道で2020年代から、限定された区域を走る無人運転車で2020年代半ばから普及期になると見込んでいる。「空港や港湾のように、歩行者が出てこないなどある程度管理された環境下であれば、ドライバーが関与しない自動運転は比較的容易にやってくるだろう。さらに、ニーズも高いとみている」(隈部氏)。

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