デバイスとクラウドを活用したシステムの企画からプレゼン、開発までを競う学生競技会「Device2Cloudコンテスト」。第9回を迎えた同コンテスト決勝大会のレポートをお送りする。
2018年12月8日、日本マイクロソフトの本社セミナールームで「第9回 Device2Cloudコンテスト決勝大会」(主催:東京エレクトロン デバイス)が開催され、予選審査を勝ち抜いた8チームの学生が、デモンストレーションとポスター展示、プレゼンテーションを行いました。
今回で9回目となるDevice2Cloudコンテストですが、IoT(モノのインターネット)という言葉が広く知られていない時代から、クラウドを使う組み込みデバイスをテーマに開催されています。学生を対象に、IoT/M2M(Machine to Machine)システムを企画、開発、プレゼンするコンテストです。
いいモノをつくり、それを伝え共感を得ることまで求めるコンテストであり、近年のビジネスシーンで求められるスキルを対象に学び、競います。9回目の開催となって、IoTがまだ目新しかったころに比べると難易度が上がってきました。
世の中ではさまざまなIoTシステムが企業によって提案されている中で、学生によるキャッチーなシステム提案が求められてしまいます。そこで本稿では、上位入賞となった特別賞、準優勝、優勝のチームプレゼンを紹介します。
特別賞になったのは、瀬戸内TEC(福山職業能力開発短期大学校)の「顔認証・文字認識を利用したスマート入場管理システム」です。
同システムは、近年問題となっているチケット転売などの問題解決がテーマになっています。写真付き証明書とチケットを撮影し、顔認証、文字認識を使って本人確認を自動化するものです。
Raspberry Piに接続されるカメラで、入場者と証明書、そしてチケットを撮影し、画像データをマイクロソフトのIoTプラットフォーム「Azure IoT Hub」に送信します。そして、Azureの顔認証と文字認識のAPIを使い処理することで、チケットの本人確認を実現しています。Raspberry Piやカメラを搭載する読み取り機は、3Dプリンタなどを使い製作していました。
チケット転売への対策については、音楽ビジネスのライブに関する重要性増加やオリンピックを控え、大手企業もいろいろなシステムを提供し始めています。まだ、汎用性や入場処理のスループットなど問題はありますが、安価なデバイスでクラウド「Azure」のサービスを使うと、学生でもこんないい感じのPoC(概念実証)が開発できるのだと感心します。
惜しくも準優勝となったのはHIT-LAB A(広島工業大学)の「自転車駐輪場における自動防犯システム」です。
駐輪場における、盗難や置き場探しといった課題を解決するためのシステムです。自転車のサドルを機械学習で認識し、スマホで管理/表示する持ち主情報QRコードなどと組み合わせて実現しています。
駐輪場上部に仕掛けたカメラで、機械学習によって自動認識できるようになった自転車のサドルを見つけることで駐輪場の使用状況が把握できます。この駐輪場使用状況は、利用者がスマートフォンなどで閲覧することもできます。
駐輪時は、スマホでユーザーごとのQRコードをシステムに読み込ませて入庫します。出庫の際にもQRコードをかざします。これにより、利用者以外による出庫で盗難が検出でき、管理者やユーザーに通知をすることもできます。
Raspberry Piとカメラによって、駐輪場上部の監視やQRコードの読み取りを行います。Azureの「CostomVision」を使い、200枚ほどのサドル画像を使って学習することで、サドルが自動認識できるようになっています。
駐輪場上部にカメラを仕掛けるなど、スケールに関してまだ考慮が必要であるなど課題はありますが、機械学習を応用することで物体認識を使ったシステムの可能性を感じるシステムでした。
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