そして、この先の構成についても部分的に明らかにされている。Ares Platformでは、図10のような構成がSGIとして提供されることになる見込みだ。先述したHuaweiのKunpeng 920は、この“Hyperscale and HPC”向けのSGIを利用したものと思われる。
MONOistのKunpeng 920の記事でも「100GのRoCEやPCI Express 4.0、CCIXなどを統合」とあったが、右端の構成がまさにこれだからだ。ちなみにCPU IPはAresとなっている。このAres(とかHelios)は何か? という話は前回の記事に書いたので割愛する。ただし、前回はHeliosの詳細が良く分からなかったが、その後自動車向けにCortex-A65AEが出た結果として、以下の特徴だけは明らかになっている。
Cortex-A55はインオーダー、2-wayスーパースカラーの構成で、同一消費電力だとCortex-A53比で約15%の性能アップ、という話だったから、どちらかというとローエンドがCortex-A55、ミッドレンジにHeliosといったラインアップになるのかもしれない。ちなみに、もともとCortex-A55のターゲットは10〜16nmプロセス、Heliosは7nmプロセスとなっており、実際はどちらのプロセスを使うかでCPUが決まりそうな気もする。
このAres Platformはもう少しブレークダウンした資料も公開されている。まず、図10の中央にある“Smart Offloading”は、最大でも16〜24程度のCPU数を想定したもので、どちらかというと図11の右側にある“Custom Acceleration”を、同左側にあるCPU群で制御するのが主目的と言った感じの構成である。
これよりもう少し上位にあたる“Edge Compute”(図12)では、もちろん“Custom Acceleration”も入るが、“Custom Acceleration”で対応できない処理などを積極的にCPUで行おう、という構成を狙ったものである。そして図13がまさにKunpeng 920で使われているもので、もう完全にクラウドサーバ向けプロセッサの位置付けである。
現時点では、Zeus以降の詳細について明らかにされていないが、こちらはまだ設計中の段階だから致し方ないだろう。それでも、ここまでArmがIPやインフラを提供したことで、従来よりもサーバ向けの製品をずっと作りやすくなり、TAT(ターンアラウンドタイム)を大幅に短縮可能になったのは間違いないだろう。2019年は他にもサーバ向け市場を狙う製品が投入されてきそうな勢いである。それこそがArmの狙いであり、(まだ取り組みは始まったばかりとはいえ)今のところは順調に推移しているように見受けられる。
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