Armの日本法人アームは、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」の開催に合わせて会見を開き、同社の半導体IP(知的財産)をより容易に利用できるプログラム「DesignStart」の拡大について説明した。
Armの日本法人アームは2018年11月15日、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」(2018年11月14〜16日、パシフィコ横浜)の開催に合わせて同会場内で会見を開き、同社の半導体IP(知的財産)をより容易に利用できるプログラム「DesignStart」の拡大について説明した。
DesignStartは2004年から始まったプログラムである。Arm エンベデッド・ポートフォリオ・プロダクトマネジメント ディレクターのフィル・バー(Phil Burr)氏は「これまでに何千ものテープアウト(IC化)の実績がある」と語る。2017年6月には、DesignStartのもとで、マイコン向けプロセッサコアIPとして広く用いられている「Cortex-M0」と「Cortex-M3」がライセンス料無償で利用できるようになっている※)。
※)関連記事:「ARM DesignStart」に「Cortex-M3」追加、設計開始時のライセンス費用も無償に
そして2018年10月には、ザイリンクス(Xilinx)製FPGAで「Cortex-M1」とCortex-M3がライセンス料とロイヤリティーの両方を無償で利用可能になり、より高機能なアプリケーション処理向けプロセッサコアIPである「Cortex-A5」もDesignStartに加わっている。
バー氏は「DesignStartは、シンプルなデバイスだけでなく、組み込みLinuxが動作するCortex-A5を用いたリッチなデバイスまで対応可能になった。実際に、この12カ月で3000以上の企業がプロタイピングを始め、そこから300以上の企業との間でライセンス契約に至っている」と説明する。
DesignStartの利点は、カスタムICのプロセッサ関連部分の設計を容易かつ早期に行えることと、それを安価に(場合によっては無償で)利用できることだ。DesignStartを採用した上海のEiGENCOMMという企業は、LPWA(低消費電力広域)ネットワークの1つであるNB-IoT対応ICを6カ月以下でテープアウトできたという。「プロセッサ関連の知識がほとんどないというある企業も、DesignStartを採用することでカスタムICが設計することができた。当社サポートへの問い合わせもほぼなかったほどだ」(バー氏)。
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