三菱電機は、情報技術総合研究所とデザイン研究所(両所とも神奈川鎌倉市)の報道陣向け視察会において、次世代移動通信技術である5Gに用いられる28GHz帯向けの超多素子アンテナシステムを披露した。
三菱電機は2018年11月30日、情報技術総合研究所とデザイン研究所(両所とも神奈川鎌倉市)の報道陣向け視察会において、次世代移動通信技術である5Gに用いられる28GHz帯向けの超多素子アンテナシステムを披露した。同社とNTTドコモは同年11月22日、この超多素子アンテナシステムを用いた屋外実験で、27Gbpsの通信速度の実証を発表している。
5Gは従来の移動通信技術にはなかったミリ波帯を用いることが特徴の1つになっている。日本で用いられる予定の28GHz帯は直進性が高い周波数帯であるとともに、5Gに求められる20Gbps以上という高速の通信速度も実現するにはアンテナシステムにも新たな技術が必要になる。
三菱電機が開発した超多素子アンテナシステムは、16ビーム空間多重伝送によって5Gに求められる高速通信を実現。アナログ回路を用いたビーム切り替えで端末に追随するビーム形成技術と、基地局側で通信波の伝搬環境を測定し信号を制御するビーム間の干渉低減技術により、屋外移動環境での16ビーム空間多重伝送を可能にしている。屋外実験では、アンテナシステムのある基地局から端末までの距離が10mの場合の通信速度が27Gbps、同100mの場合で25Gbpsだった。帯域幅600MHzで実験を行ったが、両社が総務省から受託した「第5世代移動通信システム実現に向けた研究成果」では帯域幅500MHzで通信速度20Gbpsの達成が目標なので、目標はクリアできていることになる。
なお、直進性の高い28GHz帯を用いることから、超多素子アンテナシステムはビルの壁面などに200〜300mおきに配置することになるが、そのためにはビルの壁面に設置できるような薄さが必要になる。三菱電機は、8cm四方に256(16×16)素子を並べたアンテナの背面部にRF回路を集積することで大幅な薄型化を実現。従来の手法はアンテナの背面部にRF回路の基板を垂直に組み付けていたためアンテナシステムの高さは約20cmあったが、開発品では約7分の1となる高さ約3cmに収められている。これによりビル壁面への装着が容易になった。
 「5Gは既に現実」、2019年から始まる商用サービス本格化に備えよ
「5Gは既に現実」、2019年から始まる商用サービス本格化に備えよ 自動車業界が5Gに手のひらを返した「MWC 2018」、そしてDSRCとの選択が迫られる
自動車業界が5Gに手のひらを返した「MWC 2018」、そしてDSRCとの選択が迫られる AIとIoTに5Gも加わった「CES 2018」、そして全てのモノがデジタル化される
AIとIoTに5Gも加わった「CES 2018」、そして全てのモノがデジタル化される 5GはたくさんつながるからIoT時代に求められる、中国は5兆円投資でIoT先進国に
5GはたくさんつながるからIoT時代に求められる、中国は5兆円投資でIoT先進国に 5G商用化に向け部品メーカーも加熱、三菱電機が基地局向け光通信用デバイス投入
5G商用化に向け部品メーカーも加熱、三菱電機が基地局向け光通信用デバイス投入 5G無線ユニットの体積を半減、アンテナからの放熱で実現
5G無線ユニットの体積を半減、アンテナからの放熱で実現Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
組み込み開発の記事ランキング
コーナーリンク