CPS/IoT(モノのインターネット)において脅威となるのがサイバー攻撃で、物理的な破壊によるネットワーク障害への対応が課題となっている。2018年時点でネットワークはインフラとなっているため、サイバーレジリエンスを重視している動きは、自衛隊だけでなく、民間でも同様だ。電子装備研究所では、サイバーレジリエンス技術を用いた運用構想図を展示しており、複数拠点がダウンした場合でも運用継続を実用する制御が可能だとしている。
先端技術ブースは民間企業の展示中心。民間への展開済みのものもあれば、これから注目されるであろう技術もあった。クラスターダイナミクスのマルチビークル経路探索・協調制御システムのための群知能技術「iSwarming」を見てみよう。
群知能は、魚や鳥の群れの行動をモデル化し、集団を対象とした人工知能の1つだ。メリットには、柔軟性と堅牢性、自己組織化、分散処理が挙げられている。例えば、数十機のドローンを動かす場合、目標ポイントを指定すると自律的に協調しながら移動していく。障害物がある場合でもそれぞれ独立して回避行動をしつつ、他のドローンと接触しないように動くというものだ。
リーダー機を指定した場合は、そのリーダー機を追従しつつ、協調行動ができるほか、リーダー機にエラーが生じた場合は、集団を維持するためにすぐに次のリーダー機が自動的に選出されるという。エンターテインメント方面でもフォーメーション飛行が容易であるほか、パイロット機に追従することも可能で注目を集めているそうだ。
ドローンだけでなく、人が対応するビーコンをもっている場合は、人を避けるように動くといったことも可能だ。そのため、ドローンの運用だけでなく、工場内での搬送ロボット/ビークルの運用のほか、交通網であれば信号を無くすことも可能になる他、陸海空(と宇宙)も含めての運用が可能となっている。そのため、2018年時点では三菱重工から次世代移動体システムのシミュレーションを受託している。
マイクロ・ビークル・ラボは、次世代パワー半導体であるSiC(シリコンカーバイド)デバイスを利用したドローンの提案をしていた。同社は大型リチウムイオンバッテリーや電池モジュールのメーカーだが、小型コンバーターの開発も得意にしており、シンポジウムに参加したという。
ドローンの電源を有線で行うために、小型のDC/DCコンバーター基板を利用している。狙いとしては連続運転に伴う充電問題の解決のほか、電源ライン自体を強化すれば一時的にビルの屋上から地上を監視、例えばマラソン大会のようなシーンでも導入可能ではないかと担当者は語っていた。また、通信ケーブルを含むことができるため、ドローンによる定点観測の効率化についても対応可能だそうだ。
MONOist編集部からオーダーがあったものの、製造業に関係あるのかしらと行ってみた同シンポジウムだが、MONOist読者に近しいともいえる内容が多くあった。業種によっては似たことを検討している人もいるのではないだろうか。登録さえすれば参加可能であるため、2019年度の同シンポジウムに参加してみてほしい。また関係あるのかと疑問をもって足を運んだ展示会やシンポジウムでの発見は、何かと刺激的であるとも付け加えておく。
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