PCだけじゃない、VAIOが目指すロボット製造での勝算 : モノづくり最前線レポート (2/2 ページ)
EMS事業については、特にロボティクスビジネスを抜き出して強化を進めていく方針である。ロボティクス事業はEMS事業の中でも比率を高めており、2017年度に出荷台数を大幅に伸ばすことができた原動力となっている。コミュニケーションロボットを含むサービスロボット市場は今後もさらに拡大する見込みとなっており、この領域はさらに成長が見込めるという。
吉田氏は「モノづくりにおいて、試作レベルであれば今は誰でもできる環境になりつつある。しかし、量産化はまだまだ難しい。そういう企業や人たちを支援する形で、EMS事業は成長してきた。この量産そのものと、量産化に至るための量産化設計の領域が、VAIOのEMS事業における強みとなっている」と述べている。
VAIOが製造などに関わったバンダイの「ガンシェルジュ ハロ」と、講談社の「ATOM」(クリックで拡大)
さらに、ロボティクス領域の新展開として、ドローン(無人航空機)にも新たに取り組む方針である。アグリテックを展開するナイルワークスの自動飛行型農薬散布マルチコプター「Nile-T18」後継機の量産製造などを現在進行中だとしている。
ナイルワークスの自動飛行型農薬散布マルチコプター「Nile-T18」。VAIOが量産に取り組むのはこの後継機である(クリックで拡大)
EMS事業について、吉田氏は「拡大のポイントになるのが自社内のリソースである。受注のパターンとしては主に3つある。1つ目は、量産技術を求めるケースだ。2つ目が設計開発技術を求めるパターン。そして、3つ目がソリューション事業として入った顧客からそのまま量産を求められるパターンである。それぞれリソースは限られているので、これらのバランスを見ながら事業を成長させる」と述べている。
将来的には、ロボットの受託製造を1対1で請け負うのではなく、関連する技術やシステムなどをまとめて請け負えるようなパートナーエコシステムの構築なども想定しているという。
吉田氏は「ロボットは外形だけを製造しても意味がなく、関連する技術なども幅広い。これらを一貫して請け負える体制を作りたい。ただ、1社では難しいのでテクニカルパートナーとして、パートナーシップを構築する。スマホアプリや各種サーバ、クラウドサービス、OTAサーバなどのパートナーと協力し、連携してロボット開発ができる体制構築を目指す」と将来的なEMS事業の発展性を描いている。
将来的なEMS事業の拡大に向けた取り組み(クリックで拡大)出典:VAIO
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