出展された20のプロジェクトの中で注目を集めた技術の1つが、空気を固めて飛ばす“空気砲”である。従来のように風として空気を流すのではなく、塊として届けることで、触れられている感覚が人に影響を与えたり、匂いを断続的に感じさせたりすることができる。
これを具体化した製品案の1つが、“空気砲”を香りに活用した「Chiffy」である。これは、香りを空気として飛ばして人に当てることで、確実に香りを届けるというものだ。嗅覚は慣れるのが早い感覚器だとされており、同じ香りの空気が充満している環境では香りを感じなくなる。これを断続的に当てることで、いつでも新鮮な香りを楽しめるようになるというものである。一方で、気分を変えたい時にすぐに異なる香りの塊を受けることですぐに違う香りを楽しむことなども可能となる。
現状の課題としては「できれば香りを可視化して飛ばしたいが、可視化すると香りがつきにくく、香りを付けると可視化が難しいという課題がある」(担当者)としている。
一方で“空気砲”を人との接触に使い、快眠をサポートする使い方を描いたのが「Sheep Sleep」である。これは、照明とバイタルセンサーと“空気砲”を一体化した仕組みで、これをエアコンと組み合わせることで、温度や湿度、明るさ、香り、そして一定のリズムで空気が触れることにより、ゆりかご効果で眠りやすい環境を実現する。“空気砲”の強さや間隔などは自由に変更可能だという。
また、デモが人気となっていたのが「食事をおいしくする空気」である。これは空気の質によって味覚が影響を受けるというダイキン工業の研究結果を生かし、その成果を基に食事がおいしくなる空気の環境を用意。部屋の外でワインを飲んだ場合とその部屋の中で飲んだ場合で味が変わるのかという実証である。開催初日午後の段階での実証後のアンケート調査結果を見ると、ワインの味の違いを「すごく感じた」と「やや感じた」に圧倒的な票数が集まっていた。
意外に盲点だったともいえるのが、室外機を中心としたエアコンのデザインに再チャレンジする取り組みである。エアコンは室内機のデザインはさまざまな工夫がこらされてきたが室外機はどれもそれほど大きな違いはなかった。それを大きく変えようとする取り組みである。
また、室内機と室外機を一体化させて屋外に設置し、室内ではスタイリッシュな吹き出し口部だけを用意するような新たなエアコンの姿なども紹介した。「エアコンは形が決まりきっていたが、それをあらためて見直してみた」(担当者)としている。
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