洗濯機もクラウドにつながる時代、日立家電事業の勝算イノベーションのレシピ(2/2 ページ)

» 2018年10月04日 07時00分 公開
[松本貴志MONOist]
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ソリューションビジネスの立ち上げを図る日立家電事業

 続いて行われた日立アプライアンスと日立コンシューマ・マーケティングの合併に関する説明会では、日立アプライアンス社長の徳永俊昭氏が登壇。合併の理由を「顧客のライフスタイルが多様化する中、商品企画からアフターサービスまでのバリューチェーンを統合し、変化に即応できる事業体へ移行する」ためと説明した。新会社の商号は後日発表で、売上高5000億円超、従業員1万人超の企業規模となる。

 新会社では「世界中の人々のQoLを高める生活ソリューションカンパニーを目指す」(徳永氏)ことをビジョンとして設定し、顧客の生活課題を解決する商品の提供、日立グループの強みを生かした新たな生活ソリューションの創出、多彩な人材による企業風土の実現、の3点を事業戦略として掲げた。

新会社の事業戦略(クリックで拡大) 出典:日立アプライアンス

 特に、2点目で挙げた新たな生活ソリューションの創出については、日立グループが保有するITとOT、プロダクトを結集し、さらに同グループのIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Lumada」を活用することで、スマートホームやスマートシティーに関連した事業に取り組むことだと説明する。

徳永俊昭氏

 今回発表したBD-NX120Cについても、Wi-Fi接続時に機器使用でセンシングした各種情報はコネクテッド家電プラットフォームで保存される。徳永氏は「家電をエッジデバイスと見なした場合、生活者の生活様式を間接的に把握することができる。家電をタッチポイントとして新しいサービスに具現化することがスマートホーム事業で、生活者に新しい価値として還元する」とソリューション事業の方向性を示している。

 質疑応答で記者から家電事業の利益貢献を問う質問に対して、徳永氏は「新たなソリューション事業を拡大することで、より高いレベルまで利益貢献を持ち上げることができる」と回答。現在、日立グループの中で売上比率の5%を担う生活・エコシステム事業が、今後さらなる成長を目指すにはソリューション事業の立ち上げが必須な状況だ。同事業の行方は、“つながる家電”に託されている。

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