日本電産は2018年8月31日、同社子会社の日本電産シンポのドイツ現地法人を通じ、ドイツの小型精密減速機メーカー「MSグレスナー社(以下、MS-Graessner)」およびグループ関連会社の株式を100%取得したことを発表した。
日本電産は2018年8月31日、同社子会社の日本電産シンポのドイツ現地法人を通じ、ドイツの小型精密減速機メーカー「MS-Graessner(以下、MSグレスナー)」およびグループ関連会社の株式を100%取得したことを発表した。
MSグレスナーは1955年設立の老舗の精密減速機メーカーだ。従業員は166人で、2017年12月期決算では、売上高は、2180万ユーロ(約27億円)、営業利益は210万ユーロ(約3億円)となっている。
日本電産では、以前から子会社の日本電産シンポにより、減速機の製造や販売、サービス事業をグローバル展開している。日本電産シンポが取り扱う主力の減速機は、精密遊星減速機であり、その中でも入力軸と出力軸が同一方向である「同芯軸型」の精密減速機を得意としている。さらに、その商圏は、日本と中国を中心とするアジアと米州が中心である。
これに対し、MSグレスナーは、入力軸に対し出力軸が直角方向にある「直交型」の精密減速機を得意としている。特に入出力の2軸がねじれの位置にあり、複数の歯が同時にかみ合う形状の歯車機構であるハイポイドギアに強みを持ち、ドイツを中心とした欧州に商圏を持っている。
これらのように両社の強みが補完関係にあることから、日本電産では買収に踏み切ったとしている。今回の買収により、日本電産シンポは、精密遊星減速機において、同芯軸および直交の全種を保有することになる。さらに商圏としても従来強かったアジアや米州に加え、MSグレスナーが得意な欧州の販路も確保できる。
さらに、製造面でも日本電産シンポで開発したロボット用揺動減速機をMSグレスナーのドイツ・シュトゥットガルト工場で製造し、販売やサービスも同拠点から行うことも計画する。同様に、日本電産シンポのアジアや米国での営業、サービスネットワークを活用し、MSグレスナー製品の販売も開始する。これらの取り組みにより需要が急増するロボット市場に向けた減速機ニーズに応えていく方針である。
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