矢野経済研究所は、車載用モーターの世界市場の調査結果を発表した。2016年の車載用モーター世界市場は車両生産台数ベースで29億9900万個に到達。2020年に2016年比1.2倍の36億7800万個に、2025年は同1.5倍の44億7100万個に拡大する見通しだ。
矢野経済研究所は2018年5月1日、車載用モーターの世界市場の調査結果を発表した。2016年の車載用モーター世界市場は車両生産台数ベースで29億9900万個に到達。2020年に2016年比1.2倍の36億7800万個に、2025年は同1.5倍の44億7100万個に拡大する見通しだ。
市場拡大を続ける背景には、欧州や中国など世界規模で厳格化している環境規制に対応するための燃費改善技術の開発が求められていることがある。また、安全性や利便性の向上を目的とした電動化で、パワートレインやシャシーなどでの車載用モーターの搭載数も増加する。
このうち、駆動用モーターの世界市場は2016年に428万個だったが、2020年に2016年比2.3倍の970万個、2025年には同4.9倍の2080万個まで拡大すると予測している。現状では2モーター方式のHV(ハイブリッド車)が市場の大部分を占めるが、EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)などの需要拡大によって、1モーター方式の普及が拡大するという。そのため、駆動用モーターの市場規模は生産台数の成長率を上回らない想定だ。
駆動用モーターや電動コンプレッサー、電動ポンプといった「次世代自動車システム」が車載用モーターの市場全体に占める比率は2016年時点で1%未満にすぎない。しかし2025年には全体の2%を占めるようになる。
電動車は、内燃機関車と比較してモーターの搭載数が増加するため、車載用モーターの市場動向に大きく影響を与える。特に駆動用モーターは電動車の普及により需要拡大が見込まれる。駆動用モーターの大幅なコストダウンは見込みにくいが、電動車の普及による量産効果で緩やかに価格下落するとしている。また、モーターの体積は搭載性に、重量と効率は燃費や走行距離に影響するため、電動車のモーターの高効率化が課題としている。
今後もHVやEVなど電動車の普及は全世界的な流れとして拡大していき、加えて内燃機関車においても高機能化が進むと考えられ、それに伴い車載用モーターの世界市場は拡大していくとしている。
本調査における車載用モーターは、スターターやオルタネーター、補機類から駆動用モーターまで、全てのモーターを対象とした。調査期間は2017年11月〜2018年3月で、自動車システムメーカーやモーターメーカー等を調査対象としている。
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