これらの動きを工場で示すと、全ての生産情報を直接クラウドに送るのではなく、生産現場の中で完結する動きを作るという形となる。西岡氏は「セキュリティを考えてもエッジ(現場)領域で情報を動かさないということが、安全性を保つことになる。ただデータ活用は必要になるため、生産現場内で分析などデータサイクルが回るような形が理想だ」と目指すべき姿を語り、Enterprise Resources Planning(ERP)ではなく、「Edge driven Resource Plannning(ERP)」の重要性を訴えた。
これらの現場環境の中でのデータ連携を実現するうえで大きな負担となっているのが、個々でバラバラの「言語」の翻訳である。現実世界においてモノやリアルな世界でも現場ごとに使う異なる場合が存在する。同一のモノを指し示す言葉が異なることもあり得る。さらにこれらに関連するデータのフォーマットや通信プロトコルなども異なり、これらを共通化して、比較できる形にしていかなければならない。
西岡氏は「“リアルなデジタル”を実現するうえで大変なのがこの言葉を合わせる部分だ。IVIでは発足当初から“緩やかな標準”を掲げ、製造現場の課題を複数企業で解決するためのシナリオ構築を進めてきたが、この中で生まれた共通言語を登録し、共通辞書を作っていく。この辞書を広く利用できる仕組みを作っていく」と具体的な取り組みについて語っている。
IVIではこれらの共通辞書作りを業務シナリオ策定の中で進めていく他、2018年度は、従来11の委員会で構成されていたのを、「総合企画委員会」「ビジネス連携委員会」「プラットフォーム委員会」「教育普及委員会」の4つの委員会に集約し、意思決定の迅速化を図る。さらに従来通りの「業務シナリオWG」に加え、参照モデルの技術を掘り下げる「IVRA技術WG」、先進技術を研究する「先進研究分科会」、未来プロジェクトの実証を行う「未来テストベッドプロジェクト※)」などを用意し、活動を進めていく。
※)関連記事:今ここにない製造業の将来像、「IVI未来プロジェクト」が目指す4つの革新
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