IVIは2018年度の取り組みを紹介する「IVIスタートアップ」を開催し、新たな体制や取り組みなどを紹介した。
産業のデジタル変革が広がりを見せる中、日本の製造業にも変化を迫る動きが広がってきている。デジタル化の動きはグローバルITベンダーが主導すると見る向きもあるが、その中で日本の製造業はどのように勝負すべきなのだろうか。
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加する「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は2018年4月12日、2018年度の活動を紹介する「IVI スタートアップセミナー」を開催。その中でIVI理事長で、法政大学デザイン工学部 教授の西岡靖之氏は「リアルなデジタル」こそが日本の製造業の生きる道であることを強調した。
西岡氏は「日本のモノづくりの強みを分析すると、エンタープライズ系のITは弱く、製品に組み込むエッジ領域は強いという状況があると考える。デジタル変革の流れが進む中でこの日本の強みを生かし、製品やモノに近い領域でのデジタルの在り方を考えなければならない。欧米が強い形でのデジタル領域での新たなルールを押し付けられるだけではなく、日本が優位なデジタル領域でのルールも土俵に乗せていく必要がある」と考えを述べる。
さらにこの動きを西岡氏は掘り下げて「デジタルには“バーチャルなデジタル”と“リアルなデジタル”がある」と強調する。
「組み込みソフトはモノとひも付くので仮想化されていない“リアルなデジタル”である。モノとひも付くために拡張しないといわれており、これがモノの限界だとされている。バーチャルなデジタルはボタン1つでスケールする。バーチャル世界の強みはスケール技術だといえる。しかし、IoT(モノのインターネット)などの発展で今拡大しようとしているのは“リアルなデジタル”の領域である。バーチャルなデジタルだけでは完結しない世界だ」と西岡氏は“リアルなデジタル”が必要な現状を分析する。
「ITとリアルが両方組み合わせられないと意味がない世界が数多く存在する。そのリアル側の動きを反映させたデジタルの動きを狙っていくべきだ」と西岡氏は述べる。
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