製造業革新に必要な“リアルなデジタル”の生かし方IVI公開シンポジウム2018春(1)(1/3 ページ)

IVIは、2017年度の取り組みの進捗状況と2018年度の方向性について紹介する「IVI公開シンポジウム2018-Spring-」を開催。新たに発表したモノづくり実践戦略「IVRA-Next」や、未来プロジェクトの状況などを紹介した。

» 2018年03月12日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加する「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は、2018年3月8〜9日に都内で「IVI公開シンポジウム2018-Spring-」を開催。2017年度の活動の進捗状況を説明するとともに、2018年度の新たな取り組みを紹介した。

 IVIは、日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となり、2015年6月に発足※)。モノづくりに取り組む多くのユーザー企業や生産財メーカー、ITベンダーなどが参加する。2018年3月時点で正会員(モノづくり企業)153社、サポート会員(ITベンダー)71社、賛助会員71団体、学術会員19人で、合計260社・団体から616人が活動に参加している。本稿では、IVI理事長で法政大学デザイン工学部 教授の西岡靖之氏の講演内容を紹介する。

※)関連記事:「つながる工場」実現に向けた“日本連合”の土台へ、IVIが設立総会を開催

IVIはセカンドフェーズに

photo IVI理事長で法政大学デザイン工学部 教授の西岡靖之氏

 西岡氏はここまでのIVIの取り組みについて「3年の取り組みの中で、着実に成果を残すことができた。ドイツなどが先行する中で『日本はどうするんだ』という声が高まっていたが、一部においては主導的な立場を発揮することができた。概念だけでなく具体的な成果を出してきたことが世界的にも評価されている」と手応えについて語っている。

 特にIVIでは日本のモノづくりの強みを生かしたスマート工場化を実現するために、現場の課題を発信した顧客起点の「緩やかな標準」を基軸とした取り組みを進めているが、これらの活動が世界的にもユニークだと評価を受けている。この「緩やかな標準」を生み出すための活動である業務シナリオワーキンググループは、22の業務シナリオを用意し、これに沿った形でさまざまな実証を行い、成果を生み出し続けている。

 ただ、活動を広げていく中で「現場からのボトムアップの形だけで全てが解決するのは難しい」(西岡氏)と考えを述べる。IVIの活動も「2015〜2017年の活動を欧米の取り組みを学んだり、意味を理解したりする『ローギア』の取り組みだったとすると、2018年以降は『セカンドギア』に踏み出すことになる。ボトムアップだけでなくトップダウンむ組み合わせて、新たな価値を訴えていく必要がある」と西岡氏は語る。

 具体的な「セカンドギア」の取り組みとしては以下の項目を挙げている。

  • 共通辞書を整備しユーザーが活用する
  • プラットフォーム間のデータがつながる
  • 革新型テストベッドの実証が活発化
  • 中小企業、地域のネットワーク化が進む
  • ドイツや東南アジアとネットワーク開設
  • リアルおよびデジタルの制度とインフラの整備
  • 連携企業の対象を海外企業にも広げる

 これらを推進するために、新たに作ったのが、参照モデルの最新版である「IVRA-Next」である。IVIでは2016年12月に最初の参照モデル「IVRA(Industrial Value Chain Reference Architecture)」を発表※)。西岡氏は「IVRAは中立的な視点で誰でも使えるような思想で作ったが、IVRA-NextはIVIでのさまざまな取り組みで得た知見や考え方などを盛り込んでいることが特徴だ」と述べる。

※)関連記事:「つながる工場」のデータ連携も視野に、IVIが新たな実践戦略を披露

 例えば、「つながる工場」のネットワークとしては、クラウドに全てを連携させるような中央集権的な環境ではなく、自律分散や協調分散などの技術による分散型ネットワークの方がよいとした思想なども盛り込んでいるという。

photo IVRAでもIVRA-Nextでも重要なスマートなモノづくり単位(SMU) 出典:IVI
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