冒頭でも述べたように、今大会では初めて、autoで予選が行われたことが大きなポイントだ。autoのエントリー台数は、第1回大会が16台、第2回大会が26台とまだ少なかったため、予選は実施せず、今まではいきなり決勝トーナメントになっていた。しかし大会の進行上、これ以上試合を増やすのは厳しい。
そこで、今回は本戦同様、4.5m走の予選を行い、決勝トーナメントへの進出を16台に絞り込むことになった。順位はゴールまでのタイムで決定(制限時間は1分)。本戦と違い、コース上に障害物は無いものの、幅が1mくらいしかないので、転落しないよう、センサーでコース端をきちんと認識してやる必要がある。
ただ始まってみると、コースから落下するロボットが続出。完走できたロボットだけでは決勝トーナメントの台数に足りず、走行距離が長かったロボットから追加で選ばれるような事態となってしまった。
コースと床との段差は数10cmもあるため、数百円で買えるPSD(Position Sensitive Detector)センサーでも、段差の検出は容易。転ばない安定した歩行さえできていれば、完走は全く難しいことではないはずなので、これはちょっと残念な結果だった。
そんな中で、違いを見せつけたのが常連ロボットの「Metallic Fighter」。一度も止まること無くコースを走りきり、12.04秒という、ダントツのタイムをたたき出していた。開発者の森永英一郎氏によれば、予選用にジャイロを搭載し、進行方向がずれたら左右の歩幅を調整することで、真っすぐ走るようにしていたそうだ。
森永氏はマイクロマウス競技の経験も豊富で、こうした自律制御はお手の物。ベテランならではの工夫といえるだろう。なおMetallic Fighterを抑え、10.4秒で予選1位となった「コビス」の制御も同氏による同じ方式。走行タイムが違うのは、コビスの方がより「攻めた」モーションになっていたからだそうだ。
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