3Dデータ軽量化フォーマットのXVLを利用したシミュレーターに、3Dスキャナーで取得した点群データを取り込んで、3Dデータの機構を実際のPLCのプログラムで動かしながら設備の仮想検証が実施できる。
ラティス・テクノロジー(ラティス)は2018年1月17日、機械設計者向け「XVL Kinematics Suite」と制御ソフトウェア設計者向け「XVL Vmech Simulator」の新製品を発売した。価格はXVL Kinematics Suiteが220万円(税別、ノードロックライセンス)、XVL Vmech Simulatorが400万円(税別、ノードロックライセンス)。
Kinematics Suiteは、同社の軽量3次元(3D)フォーマット「XVL」を用いたDMUツールである「XVL Studio Standard」に、機構の動作定義やシナリオ動作設定などができるオプションを追加したパッケージ製品である。
Vmech SimulatorはKinematics Suiteで作成した機構モデルに対し、モーターやセンサーなどの制御デバイスの仮想モデルを関係づけ、かつPLCの制御プログラムと接続できる。設備へ実装するソフトウェアの仮想デバッグが可能になる。
両パッケージの新製品では、3Dスキャナーで取り込んだ点群データ(測定データ)を取り込むことが可能だ。製造業の現場には今も古い設備が多く残存し、それらについては3Dデータが存在しない、紙の図面が古くて記載寸法の信頼性が低いなど、設備設計におけるデジタル検証の壁となる問題があった。Vmech Simulatorの環境に、3Dスキャンで計測した現物装置の形状が取り込めて、さらに実際の制御プログラムで動く装置の3D機構データと一緒の環境で扱え、現場の実機ではなくデジタル環境で検証が可能になった。点群データも含めた干渉チェックが実施できる。これにより設備の改善・回収における作業効率の向上が見込めるとしている。点群に対する動的な数値計測にも今後対応予定だ。
「設備の改修・改善は、設備が稼働停止しても影響が少ない連休中に集中して実施されることが多い。限られた時間の中で実施しなくてはならないため、デジタル環境での事前検証による効率化が望まれていた。旧バージョンの導入ユーザーにおいては盆休み期間での設備立ち上げに成功した例もあった」(同社)。
ラティスでは「見えないものを見える化する」というコンセプトの基づき、今回のような実機環境と仮想環境とをつなぐデジタルツインシステムの開発に今後も注力していく方針だ。
ラティスがついに工場も竣工……、したわけではない。
上の動画はおもちゃのブロックで工場の模型を組み上げ、XVL Vmech Simulatorとつなげ、IoTのデジタルツインによるリモートメンテナンスを再現したデモ。動作する実物を用いて製品を分かりやすく説明するため、展示会向けに製作したものだという。
現場の設備のデータを遠隔にある事務所からリアルタイム監視し、かつ制御していることを想定。エラー発生時には現場から吸い上げたデータを基に、手元にある設計の問題個所を指示し、3Dモデルの該当箇所をハイライトする。将来は故障予知や予兆保全での活用も期待できる。
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