見える、見えるぞ! 私にも作業者の苦労が――MRと3Dヒューマンモデルで作業者の動きをリアルタイム表現CADニュース

軽量化した3DモデルとMRによる仮想空間で、モーションキャプチャーによる動作の情報とヒューマンモデルを利用した検証が実施可能だ。実機試作削減に貢献できるとしている。

» 2016年04月21日 14時30分 公開
[小林由美MONOist]

 ラティス・テクノロジーは2016年4月21日、同社の3Dデータ軽量化技術であるXVLとキヤノンのMR(Mixed Reality:複合現実)技術による仮想環境を用いた新たなリアルタイム作業検証システムを開発したと発表した。

 同社のMR検証システム「XVL Studio Pro for MREAL」を利用し、VICONモーションキャプチャーシステムから取得した作業者の動きを3Dのヒューマンモデルデータによるアニメーションでリアルタイム表現できるシステムだ。

車両モデルとヒューマンモデル
人の動きをモーションキャプチャーで取り込む

 取得した動作のデータはXVLに保存され、無償ビュワー「XVL Player」でも再生できる。ヒューマンモデルデータを3D設計モデルの前で動かして観察することで、ユーザーは作業の客観視が可能になる。

 ヒューマンモデルは男女×大・中・小の6種類を備え、手足の長さなどは微調整可能で、さまざまな体形を考慮できる。仮想環境には3Dの設計モデルの他、3Dスキャナで採取した周辺設備などの点群データを取り込むことも可能だ。

作業性の確認:作業中、無理な姿勢ではないかなど検証可能だ。

 XVL Studio Pro for MREALはHMD(ヘッドマウントディスプレー)を装着した自分や周囲の人などの手だけを仮想環境内で表示でき、実物大で表現された3Dモデルの位置や大きさを体験することが可能だ。肌色など特定の色のみを仮想環境に表示する仕組みになっている。また、あらかじめベースになる実物にマーキング(ターゲットマーカーの配置)をしておくことで、触感を伴った体験もできる(関連記事:自動車の組み立てやメンテナンス作業をMR×XVLによる仮想環境で検証)。

HMDを装着する
ターゲットマーカーによるマーキング例:台車の表現に使用する

 同システムを使えば、例えば自動車の組み立て工程において作業者の姿勢に無理がないか、部品と作業者が持つ工具の干渉がないかといった問題を実機完成前に仮想体験可能になる。従来の3Dモデルだけの検証では洗い出せなかった問題の抽出が可能で、実機試作削減が期待できる。

 同システムは現在も開発中であり、ユーザー企業での評価を実施した後に、2016年内の販売開始を予定している。自動車や航空、重工業、プラント、建設といった分野を主な販売ターゲットとする。将来は手のより細かい動きの再現なども目指していくという。

 なお同システムは2016年5月20日に開催する同社セミナー「XVL3次元ものづくり支援セミナー2016 東京会場」と、同年5月25〜27日に開催する自動車技術専門展「人とくるまのテクノロジー展2016 横浜」で参考出展する。来場者が体験可能なデモも実施予定だ。

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