大林組とラティス・テクノロジーは「BIMobile」を共同開発した。タブレット端末にインストールした同ツールを用いて点検現場に情報を携帯し、かつ現場の情報をその場で収集してまとめられることで、点検業務や報告書作成の効率を大幅に向上できるという。
大林組とラティス・テクノロジーは2016年4月19日、BIMを活用した建物維持管理ツール「BIMobile(ビーモバイル)」を共同開発したと発表した。
同ツールは大林組が提唱する、BIMデータベースを核とした新たな業務プロセス「スマートBIM」の柱の1つである。大林組は自社で設計・施工を行う全プロジェクト、および他社が設計するプロジェクトの約8割の施工においてBIMを活用してきた。
BIMobileが対応するタブレット端末はiPadで、軽量化したBIMモデルと、モデルにひも付いた属性情報を画面表示できる。また端末から直接、写真や点検記録などの情報を簡単に入力でき、それらの情報はあらかじめ指定したExcelデータに自動で書き込まれる。
同ツールはラティス・テクノロジーの3Dデータ軽量化技術であるXVLを採用している。設計または施工段階で作成したBIMを基にXVLにより軽量化した3Dモデルを作成し、さらにBIMが持つ建物のさまざまな属性情報をタブレット端末用にデータベース化することで、3Dモデルと属性情報を連携させての利用を可能とした。
従来、建物の維持管理業務において、建物完成(完工)時の最終図面や設備機器の取扱説明書などを収めた「竣工図書」が活用されてきた。ただ、その量が膨大である故、現場での点検時に携帯しづらく、必要な情報もすぐに取り出せないといった課題があった。また現場で収集した情報を報告書としてまとめる際も、限られた時間の中で非常に手間がかかっていた。
BIMが持つ躯体や仕上げ材、設備機器の属性情報(材質、仕上げ、サイズ、重量、機器の性能など)を建物完成後の維持管理で活用することも期待されたが、専用ソフトの用意と操作習得が必要であること、データ容量が大きいことからタブレット端末での表示や活用が容易でなかったことが問題として挙げられていた。
両社は、同ツールを用いて点検現場に情報を携帯し、かつ現場の情報をその場で収集してまとめられることで、点検業務や報告書作成の効率を大幅に向上できるとしている。今後は、自由度が高く携帯性に優れたツールとして施工管理業務にも展開するという。
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