(7)EOF(End of Frame)
データフレームの終わりには、「EOF(End Of Frame)」が送信されます。CANと同様にEOFは7ビット長のリセッシブです。
下図はCAN FDフレームの波形を表示させた図です。データフェーズである赤枠の箇所が高速化されていることが分かります。
CAN FDの導入の背景やプロトコルについて紹介を致しましたが、CANとの違いについてご理解頂けたでしょうか。CAN FDのプロトコルはCANをベースにしているため、プロトコルという観点で大きな違いはありません。
しかし、CAN FDを導入する場合、対応するトランシーバーとコントローラーの導入、データベースの更新だけでなく、通信仕様や車載ネットワークの再設計といった車載ネットワークのアーキテクチャ全体に影響が及ぶ可能性もあります。
また、データフェーズボーレートの高速化に伴いEMC対策も課題となります。そのためCAN FDのリンギング対策用の回路(RSC: Ringing Suppression Circuitry)(※2)の仕様をCiA(CAN in Automation)がCiA 601-4として発行しました。
CAN FDの導入にはEMC対策や通信仕様の変更、対応する部品や試験環境の導入などさまざまな課題がありますが、2019年頃の量産車への導入に向けて開発が進められています。ここで解説した内容が、車載ネットワーク開発に携わる、もしくは今後携わっていくエンジニアの方々の一助となれば幸いです。
(※2)Ringing suppression in CAN FD networks, CAN in Automation web site
竹本 順一(たけもと じゅんいち)ベクター・ジャパン株式会社 開発ツール部 シニア フィールドアプリケーション エンジニア
ベクター・ジャパンの開発ツール部にて、CAN、CANFD、車載イーサネットに対応した開発ツールやハードウェア・インタフェースの提供およびサポート業務に従事している。
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