次世代の車載ネットワーク「CAN FD」とは車載ネットワーク(2/4 ページ)

» 2018年01月24日 11時00分 公開

(2)アービトレーション領域

 CAN FDのアービトレーション領域はIdentifierとRRS(Remote Request Substitution)ビットで構成されています。IdentifierはCANと同様に、データ内容や送信ノードを識別するために使用され、通信調停の優先順位を決定する働きもしています。CANで使用されていたRTR(Remote Transmission Request)ビットはRRSに置き換えられています。

アービトレーション領域。オレンジ色はCANと同様の転送速度(クリックして拡大) 出典:ベクタージャパン

RRSビット(Remote Request Substitution)

 CAN FDではリモートフレームが無いので、RRSビットはドミナントに固定です。


(3)コントロール領域

 CAN FDのコントロール領域はIDE(Identifier Extension Bit)ビット、FDF(FD Format Indicator)ビット、resビット、BRS(Bit Rate Switch)ビット、ESI(Error State Indicator)ビットで構成されています。

 CAN FDでは、新たにFDFビット、BRSビット、ESIビットが追加されました。IDEビットはCANと同様で標準フレームまたは拡張フレームを示すフラグで、resビットは予約ビットです。

コントロール領域。オレンジ色はCANと同様の転送速度、青色は転送速度を高速化可能な部分(クリックして拡大) 出典:ベクタージャパン

FDF(FD Format Indicator)

 FDFビットがドミナントの場合はCANのデータフレームで、リセッシブの場合はCAN FDのフレームです。


BRS(Bit Rate Switch)

 BRSビットがリセッシブの場合、送信ノードがBRSビットのサンプリングポイントで高速な転送速度のクロックモードに切り替えることを意味します。応答する全受信ノードもクロックのモードの切り替えを行う必要があります。CRC Delimiterのサンプリングポイントで全ノードがアービトレーションフェーズのボーレートに戻ります。つまり、全CAN FDノードは2種類のボーレートを持ちます。


ESI(Error State Indicator)

 ESIは送信ノードのエラー状態を示すフラグで、送信ノードのエラー状態がError Passiveの場合はリセッシブで、Error Activeの場合はドミナントです。ESIビットによって全ノードは現在の送信ノードのエラー状態を確認できます。CANフレームでは送信ノード用に自身のエラー状態を通知する手段がありませんでした。


データ長コード(DLC: Data Length Code)

 DLCは何バイトのデータが送信されるかを表します。CAN、CAN FDともに4ビット構成です。CAN FDの場合、最大64バイトまでのデータを送信できます。データ長は0〜8、12、16、20、24、32、48、64バイトが選択できます。CANの場合、0〜8バイトです。DLCとデータ長の関係は以下の表のようになります。14バイトや50バイトなど、ここに記載した以外のデータ長は指定できません。

データ長コードと対応するデータ量(クリックして拡大) 出典:ベクタージャパン

(4)データ領域

 CANと同様に、データ領域には送信データを設定します。DLCで指定した値の数データを、最上位ビット(MSB)から送信します。

データ領域。オレンジ色はCANと同様の転送速度、青色は転送速度を高速化可能な部分(クリックして拡大) 出典:ベクタージャパン

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