(5)CRC領域
CRC領域の変更点は以下の5点です。
CRC領域には、新しくStuff Countが追加されCRCは17ビットまたは21ビット必要です。ここでは、追加されたStuff Count と変更になったCRCの計算、ビットスタッフィングルール、CRC Delimiterの変更点について説明します。
Stuff Count(CAN FD)
Stuff Countは次の2つの要素で構成されます。
Stuff Countは以下の表のようにコーディングされます。
スタッフビットを8で割った余り | グレイコード(3bit) | パリティービット(1bit) |
---|---|---|
0 | 000 | 0 |
1 | 001 | 1 |
2 | 011 | 0 |
3 | 010 | 1 |
4 | 110 | 0 |
5 | 111 | 1 |
6 | 101 | 0 |
7 | 100 | 1 |
Stuff Countのコーディング |
CRC
データ領域の増加に伴い伝送品質を維持するために、SOFからデータ領域のビットだけでなくStuff Countとスタッフビットも含めCAN FDのCRCを計算します。受信ノードは、CRCの計算結果を比較することで正常に受信できたか判断します。
CANでは15ビットでしたが、CAN FDではCRCのビット数は以下のようになります。
ビットスタッフィングルール
CANと同様にSOFからデータ領域の末端までスタッフビットが挿入されます。挿入されたスタッフビットの数はグレイコード化されてパリティービットで保護されます(Stuff Count)。
CRC領域では固定されたビット位置にスタッフビットを配置し、これを固定スタッフビット(Fixed Stuff Bit)と呼びます。固定スタッフビットの値は、その前のビットの値の逆になります(Stuff Countや前後にも固定スタッフビットが配置されます)。
CRC Delimiter
CRC DelimiterはCRCの終了を表す区切り記号で常に1ビットのリセッシブで送信します。ただしCAN FDの場合、ノード間の位相のずれを考慮して受信側で最大2ビット時間を許容します。CAN FDフレームのデータ領域(高速化可能な領域)はCRC Delimiterの最初の1ビットのサンプリングポイントまでです。
(6)ACK領域
CAN FDのACK領域はCANと同様にACKとACK Delimiterで構成されます。CANではACKは1ビット時間でしたが、CAN FDの受信ノードは最大2ビット時間まで有効なACKとして認識します。
追加の1ビット時間は、高速なデータ領域から低速なアービトレーション領域へのクロック切替え時に発生するトランシーバーの位相のずれおよびバスの伝播(でんぱ)遅延の補完に使用されます。ACKの後には、ACK Delimiterが送信されます。これは ACKの終了を表す区切り記号で、1ビットのリセッシブです。
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