なお、今大会では新ボーナス「韋駄天」が追加された。これは走行タイムから計算される数値で、タイムが限界に近づくほど、急激に増えるという特性を持つ。例えば、走行タイムが20秒だとボーナスは3.7秒にしかならないが、15秒だと11.9秒になる。走行タイムを5秒短縮することで、リザルトタイムは10秒以上も減るわけだ。
デベロッパー部門では、コースのショートカットが定番。通常のラインから外れるため、コースを見失ってリタイアするリスクもあるが、アイデア次第で、大幅にタイムを短縮できる可能性がある。韋駄天ボーナスは、そうしたチャレンジに対するご褒美のようなものと考えることができるだろう。
ただ、その一方で、この新ボーナスの導入で、競技に混乱も生じてしまった。上記のグラフをもう一度見て欲しいが、走行タイムが"想定外"の15秒以下になったとき、ボーナスはさらに急激に大きくなる。その大きさは、走行タイムが10秒のときになんと37.7秒。ここまで来ると、もはやゲームのボーナスなんてどうでも良くなる。
実際に、地区大会では、このようなことが起きてしまった。Lコースを10.8秒で走るチームが現れ、ゲームボーナスがゼロであるにも関わらず、Lコースのリザルトタイムで1位になったのだ。これでは、速さと巧さが求められるという、競技のバランスを崩してしまう。
全国大会では、運営側の対策として、ショートカット地点にゲートを追加。まさに「やれるものならやってみろ」という運営側からの挑戦状にも思えたが、「佐和ブリゲード」(日立オートモティブシステムズ・佐和事業所)は果敢にチャレンジ。ゲートに激突し、あえなくリタイアとなったものの、会場を大いに盛り上げた。
競技部門で1位となったのは、「HELIOS」(アドヴィックス)チームだ。このチームは、走行タイムで3位、ボーナスタイムで2位と安定した力を発揮。ソフトウェアの設計を評価するモデル部門でも1位となり、文句なしの総合優勝を果たした。
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