計測機器の専門商社、東陽テクニカは自動車計測ビジネスの売り上げ拡大を目指し、新たな取り組みを開始した。シャシーテスト装置「DMTS(Driving&Motion Test System)」の販売を中心に2020年までに100億円規模に成長する事業を構築していく。
東陽テクニカは「欧米の計測機器の最新機器や要素技術を取り扱い、日本の顧客の技術開発に貢献することをベースにしたビジネスを展開してきた。現在は電子計測に注力し、情報通信や機械制御、エネルギー、EMC、メディカルなど8つの分野にわたって事業を行っている」(東陽テクニカ 取締役の高野俊也氏)という中堅の専門商社だ。
直近の売上高は216億円で、ここ数年伸び悩んでいる。そのため、積極的に成長戦略に向けての投資を進める。その1つとして、これまで一部のテストシステムなどニッチな装置でしか実績がなかった自動車計測ビジネス分野に力を注ぐ方針を固めた。
同社は現状のビジネスの延長線上で、クルマの進化やトレンドに合わせた新たなニーズを取り込んでいく。具体的には、モデルベース開発や車両実験、電動化やエンジンのダウンサイジングの影響を受ける動力性能、ADAS(高度運転支援システム)など車両制御技術、電動化に求められる材料技術の開発で需要を見込む。これらに対応した技術やシステムの提供による成長を、2015〜2017年の中期3カ年計画として掲げている。
さらに、2020年以降に向けての長期計画では、新たにビジネスモデルの構築が期待できるニーズとして、リコールのリスク軽減や、内製計測ツールのグローバル標準化への対応などを挙げる。
こうした現状を踏まえて研究開発を開始したのがDMTS(Driving&Motion Test System)だ。自動車は、ハイブリッドシステムや自動運転など、さまざまな部品が関わる複合化したシステムを操る技術が求められている。シミュレーション技術やCAE活用でシステム設計技術は向上したものの、完成車のシステムテストは単体ごとのテストで、協調動作などの確認ができない。
複雑な機能を組み込み、いきなりテストコースで実走テストを行う場合は、システムに問題が生じると実車走行試験中の危険度が高まり、再現テストも不安定となるが、実車試験は不可欠である。これに対し、DMTSはテストラボでさまざまな実走行テストを限りなく可能にする台上での模擬試験だ。シミュレーションや要素試作、単体テストと、テストコースで行う実車組み込みテストの中間に位置する。
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