RJC カーオブザイヤー受賞の「スイフト」、テクノロジーオブザイヤーでも高評価車両デザイン

日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)が主催する「2018年次 RJC カーオブザイヤー」をスズキ「スイフト」が受賞した。2016年11月1日から2017年10月31日までに発表された国産車を対象に、RJC会員の投票によって選出した。スイフトの得点は、2位のホンダ「N-BOX」に48点差をつけた。

» 2017年11月16日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 スズキは2017年11月15日、日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)が主催する「2018年次 RJC カーオブザイヤー」を「スイフト」が受賞したと発表した。2016年11月1日から2017年10月31日までに発表された国産車を対象に、RJC会員の投票によって選出した。

 スイフトの得点は、2位のホンダ「N-BOX」に48点差をつけた。3位はマツダ「CX-5」、4位はダイハツ工業「ミラ イース」、5位はトヨタ自動車「カムリ」、6位がトヨタ自動車「C-HR」だった。

スイフト(左)とスイフトスポーツ(右)(クリックして拡大) 出典:スズキ

 スイフトシリーズはスポーツモデルやハイブリッド車をそろえ、幅広いユーザーに対応したことが評価された。「特に6速MTの『スイフトスポーツ』は、動力性能と操縦性に優れ、高いスポーツ性を持つ。独自の機構を持つハイブリッドは、5AGSともマッチングしたもので、利点の多いハイブリッドを廉価に提供した」(RJC)。

 スイフトは2016年12月、スイフトスポーツは2017年9月に現行モデルが発売された。ノーマルのスイフトは、プラットフォームや足回りなど車両全体で軽量化を図り、車両重量は先代モデルより120kg軽い840kgとした。

 スイフトスポーツの車両重量は先代モデルから70kgの軽量化を図っている。トレッドを拡張して直進安定性や旋回性能を高めるとともに、国内仕様の同モデルとしては初めて3ナンバーサイズのボディーとなった。ノーマルのスイフト現行モデルの外形寸法が全長3840×全幅1695×全高1500mmなのに対し、新型スイフトスポーツの外形寸法は全長3890×全幅1735×全高1500mmで、全幅が40mm増えている。

縦型のテールランプなどリアスタイルも歴代スイフトの特徴を踏襲した(左)。スイフト標準モデルのシンプルなフロントデザインはより欧州風味が強い。ちなみに欧州仕様は標準モデルと同じデザインを採用している(右)(クリックして拡大)
サイドの流麗なデザインも現行スイフトの特徴。リアのドアノブを隠してスペシャルティー感を演出している(左)。スイフトで初採用した単眼カメラと赤外線レーダーを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポート」(右)(クリックして拡大)

 スズキ初の装備として単眼カメラとレーザーレーダーを組み合わせた衝突被害軽減システム「デュアルセンサーブレーキサポート」を採用した点も特徴だ。新しいシステムは、従来のステレオカメラがセンサーのシステムと同等の機能に加え、ハイビームアシストをスズキとして初めて実現した。

 デュアルセンサーブレーキサポートのセンサーのサプライヤーはContinental(コンチネンタル)で、ハードウェアはトヨタ自動車の衝突被害軽減システム「Toyota Safety Sense C」と同じだ。しかし、ソフトウェアが異なっており、Toyota Safety Sense Cの自動ブレーキは歩行者に対応していないが、スズキのシステムは対歩行者でも自動ブレーキが作動する。

N-BOXの現行モデル(クリックして拡大)

 RJC カーオブザイヤーと同時に選出された自動車技術向けの表彰「RJC テクノロジーオブザイヤー」の選考では、スイフト向けのハイブリッドシステムが2位に、4位にスイフトスポーツ向けの排気量1.4l(リットル)直噴ターボエンジンがランクイン。

 得点数1位でRJC テクノロジーオブザイヤーを受賞したのはN-BOXの軽量化技術だった。

 新型N-BOXは、ボディーやシャシーで大幅な軽量化を図り先代モデル比で車両重量を150kg削減した。商品力向上のための機能追加で70kg増加したのを差し引いても、80kgの軽量化を達成した。「マイナス80kg」というのはホンダの社内計測によるもので、カタログに掲載する諸元値とは測定方法が異なるため新旧モデルの車両重量の差とは一致しない。

N-BOXの骨格。赤色の部位が1180Mpa級の超高張力鋼板(クリックして拡大)

 150kgの軽量化の内訳は、ボディーが45%、シャシーが20%、インテリアで13%、エクステリアで12%、エンジンやCVT、電装品で10%となっている。軽量化と高剛性化を両立するにあたっては、高効率なフロアフレーム構造の採用や780MPa級以上の高張力鋼板の使用比率拡大、新たな接合技術の導入などを行った。

 1180Mpa級の超高張力鋼板を外板面に「世界で初めて採用」(ホンダ)するなど、積極的にコストをかけて先代モデルの人気に応えた商品力強化を実施した。

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