その他では、UDトラックスなども未来の物流の在り方として「自動運転、エレクトロモビリティー(電動化)、コネクティビティ(つながるトラック)を革新の3本柱として取り組む」(UDトラックステクノロジー シニアバイスプレジデント 中野ダグラス氏)とし、電動化を積極的に推し進めていく方針を示していた。
現状では小型トラックから電動化が進んでいるという状況だが、これらをさらに広げていくためには電気自動車全般にも通じる普遍的ともいうべき課題がある。充電インフラの問題と電池積載(電池容量)の問題である。
EV普及全般の課題となっている充電ステーションは、既存のガソリンスタンドは減少を続けているとはいえ全国に3万カ所以上存在しているのに対し、CHAdeMO協議会によれば2017年1月現在で6935カ所となっている。電気トラック用の急速充電設備や次世代急速充電の普及のペースも考えると、商用車に必要な「使い勝手」を満たすには時間がかかりそうな状況である。小型トラックなどや路線バスなど一定のルートやエリアに限定された用途であれば適用が可能だが、長距離輸送などにはインフラ面としてもハードルが高いといえる。
もう1つの課題である電池容量は、容量と重さの問題である。1回の充電における走行可能距離を考えた場合、既存の電池のエネルギー密度ではどうしても電池積載量が大きくなり、重くなる。そうなると商用車の場合、荷物の積載量が小さくなり、投資対効果が発揮できなくなってしまうというわけだ。しかし電池のエネルギー容量の向上などは一朝一夕にできるものではなく、これらを解決することが、大型トラックおよび長距離輸送での活用に求められている。
こうした課題の一方で、電動化は商用車に新たな価値を生む可能性もある。電動化で利点だとされているのが、排気ガスをなくし騒音の低減できるという点である。これらは夜間配送などでの近隣住民への影響を抑えるなどの既存の運用での付加価値を生むだけでなく、トラックを室内や工場内に入れることができるという新たな価値を生み出すことができる。
例えば、工場からの配送であれば、トラックを出荷口に付けて人がフォークリフトや運搬機器などを操作して積載するような作業が発生するが、トラックが室内に入ることができれば、ドライブスルーのような形が実現できるかもしれない。UDトラックスの中野氏は「建物の中に入ることができることでコンベヤーなどと一体化するような仕組みなどトラックそのものの形も変わり、新たな使い勝手を生み出すことができるかもしれない」と将来のトラック像について述べている。
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