CPS/IoTの総合展示会となった「CEATEC JAPAN 2017」では、数多くのロボットが展示されていた。前編となる本稿では、電機メーカーを中心にロボット関連のブース展示の様子を紹介する。
CPS/IoTの総合展示会「CEATEC JAPAN 2017」が10月3日〜6日、幕張メッセにて開催された。CEATECは今回で18回目の定番イベントであるが、IoT・ロボット・AIのブームともいえる盛り上がりを受ける形で、2016年、テーマを従来のIT・エレクトロニクスから大きくチェンジ。“新生CEATEC”としては、2回目の開催となった。
この転換は成功だったようで、主催者側の発表によれば、来場者、プレス、出展関係者を合わせた登録来場者数は4日間で約15万2千人。9.1%増加した前回よりも、さらに4.7%増えた。1日当たりの登録来場者数が3万8千人を超えたのは、2008年以来、9年ぶりだという。産業用ロボットメーカーのファナックが初出展するなど、出展者数も増加している。
筆者は今回、主にロボット関係の展示を見て回ったのだが、興味のある展示が増えたため、取材が1日で終わらなくなってしまったほどだ。本稿(前編)では、電機メーカーを中心にブース展示の様子を紹介しよう。
パナソニックが出展していたのは、コロコロ転がる動きがユニークな幼児向けソーシャルロボット「cocotto」。ボウリングの球のような本体は一見、どうやって動いているのか分かりにくいが、良く見ると顔が表示されている中央部が回転しており、それで移動していることが分かる。重心のウェイトを左右にずらすことで、進行方向も変えられる。
このロボットのコンセプトは「子どもの友達」だという。今回のデモは操縦とのことだったが、製品では自律的に動作し、会話が可能。利用者としては3〜6歳の小さな子どもを想定しており、成長に合わせ、言葉も変化する。例えば、最初は「ニャンニャン」と言っていたのが「ネコ」になる、といった具合だ。
本体にはカメラとマイクを内蔵しており、ネットワーク経由で、子供の見守りにも利用できる。またスマートフォンからの操作で、「歯磨きをしよう」などと話しかけさせ、子どもの行動を促すような機能も搭載する。「親の言うことは聞かなくても、友達の言うことなら聞いてくれるかも」(ブース説明員)
重量は4kg程度。軽すぎると投げられる恐れがあるため、この大きさになったとのこと。また本体が球形で突起が無いのは、安全性に配慮した結果だ。今回は参考出展のため、仕様は大幅に変わる可能性もあるが、2019年の製品化を目指して開発中。価格は未定で、販売の他、レンタルも検討されている。
ユカイ工学は、クッション型セラピーロボット「Qoobo(クーボ)」を出展。このロボットの特徴は、本体に付けられた尻尾の動きだ。内蔵した加速度センサーでなでられたことを検知し、それに応じて尻尾を振る。モーターは本体側に内蔵されており、尻尾はワイヤで動かす仕組みだ。
尻尾の動きは、まるで本当のネコのよう。現在はまだシンプルな反応だが、今後、テンションが上がったり、逆に寝ることがあったり、変化を付けることを考えているそうだ。癒やしの効果が期待されており、一般家庭や介護施設への導入を想定。価格は1万円前後になる見込みで、2018年夏の発売予定。
また、音声認識ソリューション「A/UN(アウン)」のデモも行われていた。東芝映像ソリューションの音声認識技術と、ユカイ工学のロボット/IoT技術を融合したもので、環境センサーのデータなどを利用して、家電の操作をロボット側から提案することが可能だという。目指すのは、「空気を読めるロボット」(ブース説明員)だ。
ただ命令を待つのではなく、自ら提案するという点が、一般のスマートスピーカーとの大きな違い。ブースでは、A/UNを使ったサンプルロボット「こだま」を紹介。部屋の気温が高かったとき、扇風機の使用を提案して、動かす様子のデモを行っていた。同社は、A/UNを搭載したロボットの受託開発を進める方針。
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