三菱電機は、「第45回東京モーターショー 2017」において、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)の新技術を盛り込んだコンセプトカー「EMIRAI4」を出展する。
三菱電機は2017年10月16日、「第45回東京モーターショー 2017」(プレスデー:10月25〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日)において、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)の新技術を盛り込んだコンセプトカー「EMIRAI4」を出展すると発表した。
EMIRAIは三菱電機がモーターショーなどで公開してきたコンセプトカーのシリーズ。HMIに限らずパワートレインや運転支援技術なども盛り込んで提案してきた。今回披露するEMIRAI4は、自車位置の測位技術を組み合わせてAR(拡張現実)表示を実現したHUD(ヘッドアップディスプレイ)や、奥行き感や浮遊感のある表示を実現する「クロッシングディスプレイ」をアピールする。
HUDは、高精度3次元地図と準天頂衛星による高精度な測位技術により、走行する車線や交差点での右左折の案内などを、ドライバーの見えている景色と重なるようにARで表示する。現時点では50m先までAR表示が可能だという。これにより、濃霧や雪道など車線が見えにくい場合にも分かりやすくナビゲーションを行えるとしている。コンセプトカーではコンバイナー型のHUDだが、フロントガラスに投影するウインドシールド型も開発する。
センターコンソールには、画面上を自由に移動できるダイヤルスイッチ付きのディスプレイ「ノブ オン ディスプレイ」を設置。タッチ操作の利便性と、メカスイッチの操作による確実な操作感を両立する。ダイヤルスイッチはタッチペンのようにタッチ操作を行う仕組みで、ディスプレイは接触しているだけだ。画面の切り替えの操作などはダイヤルスイッチで行い、細かい項目の選択は手指で操作するなど使い分けを想定している。
メータークラスタには、表示に奥行き感を持たせるクロッシングディスプレイを搭載した。2枚の液晶ディスプレイとハーフミラーの配置によって、高い視認性と浮遊感や奥行きを同時に実現している。過去に発表した曲面の液晶ディスプレイと比べて、リッチな表示が可能になるという。注意喚起の表示などを浮きあがったように見せることで強調し、安全運転を支援する。
メータークラスタやセンターコンソールの描画の可能性が広がることに対しては、カーナビゲーションシステムなどで実績のあるデザインツールを提供し、自動車メーカーの設計の負担軽減を支援していく。
この他にも、ドライバーだけでなく助手席の乗員もモニタリングするシステムや、LED照明によって周囲の人や車両とコミュニケーションを図るライティング技術もEMIRAI4に搭載している。
運転席と助手席を同時に監視するモニタリングシステムは2018年の量産を予定している。それ以外の搭載技術は2020年以降の事業化を目指す。準天頂衛星システムは2018年に本格運用が始まるが、AR HUDは表示の位置合わせに必要なリアルタイムの処理が実用化に向けた課題となりそうだ。「車載用のシステムの処理性能でどこまでできるか。また、現在の地図データには勾配の情報がないので、坂道でのきれいなAR表示も追求していく」(三菱電機 自動車機器開発センター 開発第二部長の渡部秀雄氏)。
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